信州日経懇話会・第3回例会講演会

 いつも楽しみにしている日経懇話会講演会。久しぶりに出席することができた。今回は、日本経済新聞社編集委員の大石格氏が「米大統領選2024直前情勢を読み解く」という演題での講演であった。

 米大統領選の仕組みが漠然としていたが、あ~こういうことになっているんだと大変面白かった。選挙管理委員会が有権者名簿を売っていて、アメリカは戸籍がないので、出生証明書で有権者名簿に登録して選挙に参加するとのこと。有権者は、直接大統領への投票ではなく、有権者の代表となる選挙人を選ぶのだ。

 現在アメリカでは移民のほとんどは非白人であり、ヒスパニックが多くなっている。文化的にも仕事もヒスパニックに取られているのが現状である。ヒスパニックはカトリック信者が多く、したがって避妊等を認めない。そうしたことから、移民流入を阻止できないハリスは不利になっているとのことだ。接戦になると多くのトラブルが発生するだろうとのことで、前回の大統領選のことを思い出した。

次へのステージ

 2024年10月10日、個人事務所としての最後の給与の支給が終わった。そして退職金の支払いも本日終了した。これで職員に対しての清算は完了し個人事業主としての務めは終わった。

 今日の各職員の業務の終了時に、最後の給与と退職金の支給そして個人事務所での今までの勤務に対してお礼の言葉をもらった時には胸一杯になった。税理士法人になって、この法人を引き受けてくれる税理士が新しい方向に向かって活動していてくれる。嬉しい反面寂しさも覚えているが、こうしたケジメとしての職員からの一言は本当に嬉しかった。そして「スタートした税理士法人でもよろしくお願いします。」と添えてくれた一言も嬉しかった。

 次へのステージがスタートしているのだ。寂しさではなくて喜びとして、一つ一つを認識していくこと。それが私のこれからの意識改革だ。これまで築いてきたものがどのように進化していくだろうか。期待と楽しみが形になって微笑む時が待ちどおしい。

アンガーマネジメント&アサーション研修

 年1回開催してきた事務所主催のセミナー。税理士法人になって第1回目のセミナーを開催した。税理士法人のお披露目もかねての開催である。

 今回は「アンガーマネジメント&アサーション」についての研修。ワークショップ形式で2時間。みんな和気あいあいと楽しんで(?)時間を共有してくれた。

 「アンガー」とは「怒り」で「マネジメント」は「後悔しない」こと。つまりは怒りの感情で後悔しないことだ。

 怒ることはいけないこと、悪いことではなく、無理して抑えたりかっとなって感情的になることなく、怒る必要のあることは適切な表現ができること、ということに大きな学びがあった。

 「アサーション」とは「適切な自己表現」のことで、お互いの主張や立場を尊重したうえで、誠実に率直に、自分の要望や意見を伝えることである。

「アサーション」の実現は、

 1 ゴールを明確にする  

 2 一番伝えたいことは何かを明らかにする  

 3 アンコンシャスバイアスや固定観念を疑ってみる  

 4  相手と共通認識を得られる言葉を選ぶ  

 5 「言わない」という選択肢もある

に尽きるとのことだ。

 言うか言わないかは、後悔するかしないかで判断する。「言えない」と「言わない」は違う。

 これらのことを一つ一つ吟味して自分のものにしたとき、そこには心理的安全性が働いて、働きやすい職場になっていくんだと思う。

 税理士法人としてスタートした今、職員も一緒になって学んでくれた「アンガーマネジメント&アサーション」 。更によい組織が出来上がっていくと信じている。

スプレーアスター

税理士法人スタート

 待っていた日がやってきた。個人事業を廃止し、税理士法人としてスタートした。そのスタートにふさわしいいい天気で、早朝散歩で見た飯綱山が素晴らしい。長野市のシンボルの山である。

 この税理士法人が、職員にとって安心して働け、クライアントにも地域にも必要とされる存在になっていくことを願っている。個人事業ではいつか終わりが来るが、法人であるならば何代もの税理士が引き継いでいってくれる。43年6か月積み上げてきたものが新生され、どのような色に染まっていくか楽しみである。

 たくさんのお花をいただいた。たくさんのメッセージをいただいた。この日を忘れずに、もう少し税理士業を続けていきたいと思っている。

感謝

 個人の税理士事務所は今日で終了した。最終日、あまり意識しないで過ごすようにしたが、最後の夕礼で職員に感謝の言葉を伝え、明日からの新しいスタートの決意表明をした。

 そして私にとっては嬉しい出来事が夕礼で起きた。

 配偶者から花束が届いていたのだ。その花束は、職員が私を支えてきてくれた感謝を、配偶者の立場で表してくれたのものだった。感謝の言葉が書かれたカードも添えられていた。やるじゃん!

 たくさんの花はみんなで分けてもらった。

 事務所がいい形で法人成りできるのも、一緒に事務所を運営してくれる良き税理士に出会ったから。そしてここまで職員みんなが頑張ってくれたから。花に囲まれて最終日を終わりにすることができて、私は心からすべてに感謝だ。

 人間いつかは退く時がやってくる。自分のその時まで、もう少し頑張って目標とする税理士としての集大成を形にしたいと思っている。

 明日、税理士法人の代表税理士としての第1日目がいよいよ始まる・・・。

税理士人生

 昭和56年3月に税理士登録をして開業。43年6ヶ月が経過した。この9月30日に個人事務所は廃業し10月1日付で税理士法人を設立する。一人で始めた税理士事務所も、今では職員合わせ11人が事務所に所属してクライアントのために、社会のために、そして自分のために働いてくれる。限りある人生に、だれもが安心して働ける環境を整えるには法人化が必要だ。

 間もなく事務所からは個人名が消えるが、職員がみんなで検討し、私の誕生花の名前を税理士法人名としてくれた。いずれは引退するときが来る。それまで職員たちの思いを大切に新しい組織でしばらくは税理士人生を続けていきたいと思う。

トップマネジメント懇談会

 長野県経営者協会主催のトップマネジメント懇談会が軽井沢で開催された。33回目の今回は「情勢の活躍について考える」をテーマに、講演においては2名の人が登壇し、その後パネルディスカッションが行われた。

 講演最初の登壇者は、株式会社キングジム・取締役常務執行役員の木村美代子氏である。『多様性を生かした価値共創・お客様と作り上げたサービスと企業成長』という演題である。

 多様性を生かした価値共創から生まれた事業内容が非常に興味深かった。特に消費者からのアンケートや商品の購入分析結果から、同じ商品でもパッケージを変えたり、また商品のセット方法などを工夫し、またどのような消費者対象にその商品を販売するのか等ネット販売による面白さがあった。まもなく開催される株主総会で社長に就任するそうだ。

 2回目の講演は、中電クラビス株式会社取締役岡野喜子氏である。岡野氏とは以前から面識があるだけに、とても楽しみであった。演題は『女性活躍について・自分らしく働く環境づくりを目指して』。

 今まで歩んできた人生においての気づきや工夫、提案、変化等を話してくださった。岡野氏が経験した窮屈さは、結果岡野氏自身への気づきにもつながったのがだ、そのことを聞いて、自分にも同じようなことがあったことを思い出した。

 岡野氏の言葉『女性活躍は多様な人材に向けた取組・Enjoy Working』は印象に残った。

長野県経営者協会と連合長野との懇談会

 長野県経営者協会と連合長野の懇談会が開催された。今回は、三浦労働局長から、長野県内の雇用・失業情勢、雇用・労働分野における各種支援・推進策についての話をお聞きし、意見交換が行われた。

 長野県内の雇用状況については、いまだに人手不足が続いており、個人的には、肌感覚であるが副業・兼業を行っている労働者が増えてきているようだ。副業者を受けいれる企業側の労働者に対する認識・知識が乏しいような感じも受けている。

 長野県において副業者がどのくらいの割合でいるのかを質問したが、把握はしていなかった。

 企業によっては、副業を全面禁止しているところもある。この懇談会に出席した労働組合が所属する企業も全面禁止状態だと言っていた。(本来は全面禁止はできないはずだけれど・・・)

 労働者側に立てば、収入が少なく、その不足分を副業で賄いたいという希望が多いが、組合で掛け合っても進展しない状況ということも聞いた。

 企業は人件費をコストととらえてはいけない。三浦労働局長の演題にもあったように「安心して働ける信州のために」経営者は考えていかなくてはならない。

 もう一つ、女性の活躍推進の中で、「えるぼし、プラチナえるぼし認定」と「くるみん、プラチナくるみん認定」の話があった。県内においてはえるぼし認定件数は28社、プラチナえるぼし認定件数は0社。またくるみん認定件数は84社、プラチナくるみん認定件数は17社である。

 この件についてもひとこと言わせてもらった。「えるぼし」も「くるみん」も女性活躍がしやすいように設けた制度とはいえ、大企業、中堅企業のための制度になっている。税制でもこれらの認定を受けると優遇される。中小企業が取り組みやすい制度設計をするべきだと以前から感じていた。この認定制度からして、ますます格差が拡大する一つの要因にもなっていると私は感じているのだ。

 普段から感じていることを発言してきた。もっと中小零細企業のことも視野に入れた制度になっていかないかなあ~と、常日頃考えている。

ぼくのおじいちゃん

 クライアントで信濃町にある法人の3代目社長が本を出版した。本の題名は「ぼくのおじいちゃん」。このおじいちゃんは2代目であり、今の会社を大きくした人物である。

 『一人の企業家の人生とその周辺を掘り下げる事で、大戦から敗戦、戦後の復興の様子、その実際を、「鳥の目」ではなく別の視点「虫の目」から観る、違った角度から眺めることができると思う。』

 『荻原秀貞氏の人生、ストーリーが数十年後、数百年後かに意味を持つ内容なのかは誰にもわからない。じいちゃんの奇譚は、信濃町においては振り返られることもあるかも知れない。長野県というレベルにおいてはまず無い。荻原家が続いていったとしたら、このクロニクルは少なくとも一族の間では意味を持つだろう。』と最初に綴られている。

 この法人や経営者家族とは20年ぐらいのお付き合いだ。おじいちゃん(2代目経営者)とのお付き合いは、あまり長くなかった。しかし偉大な経営者であったことは知っていた。

 この本を読んで、知らなかった荻原秀貞氏の思いと教訓そして偉業が分かり、今、会社が抱えている課題も一緒に解決していく『力』となっている。

 この本には、地域の会社や著名人が実名で登場し、いろんなエピソードが書かれている。まさに荻原秀貞氏と会社のクロニクルなのだ。

 どんどん引き込まれる本をいただいて感謝です。

カーテン向こうのバイオリン

 仲良くしているクライアントのHさんから、「この本面白そう」ということで紹介された『WORK DESIGN』をさっそく購読始めた。

 冒頭から引き込まれる内容で、改めてジェンダーやアンコンシャス・バイアスを考えるきっかけとなる。

 1970年代のアメリカの5大オーケストラメンバーは、女性の演奏家割合が5%だった。現在は35%以上が女性演奏家を占めているオーケストラが増えたそうだ。そこに至るに、どんなことが行われたか・・・。「ブラインド・オーディション」が採用された結果である。

 「ブラインド・オーディション」とは演奏家の採用試験で審査員と演奏家の間をカーテンで仕切り、審査員には演奏者が分からないように演奏してもらった。ボストン交響楽団が始めたそうで、女性演奏家が採用される割合が飛躍的に増加したとのこと。

 本来は演奏家の採否は人種や性別等は関係ないはずだが、女性演奏家が一人もいなかった時代もある。またその楽団に所属していた演奏家たちも何の問題も感じていなかったのだろう。

 時代は変わった。問題の認識から始まり、1枚のカーテンを使っての決断と課題解決がオーケストラを一変させた。

 女性税理士として40年以上の時が過ぎた。10年ぐらい前までは、非常に生きづらい時代だった。いろいろな役を担ったが、組織が大きくなればなるほど、トップであっても難しいものがあった。唯一、税理士会支部長の時には、他の役員や会員の理解もあって思い切ったことができた。これは感謝だ。

 自分の事務所においても、対外的にも、1枚のカーテンを使っての決断や課題解決をしていくことが、今後の事務所の在り方へのヒントになった。もしそのカーテンが透明だったら・・・なんていうことも考えて、ね。