抜萃のつヾり

 今年も「抜萃のつヾり」をいただいた。「その八十二」である。発刊を始めてから八十二巻目ということ。この小冊子は、株式会社クマヒラ・ホールディングスの創業者である熊平源蔵氏が社会に感謝・報恩の思いから昭和6年に創刊したものだ。

 自らの糧として抜萃したものを発刊し多くの人たちや団体に寄贈している。私は毎年楽しみにしている。

 今は仕事が忙しい時。帰宅して静かな音楽を聴きながらする読書の時間は至福の時だ。いただいた抜萃の つヾり を一編一編味わいながら、元気な気持ちを取り戻している。そして翌日への活力になっている。感謝です。

中部経済連合会

 中部経済連合会は長野・岐阜・静岡・愛知・三重の中部5県を活動エリアとする広域的な総合経済団体。その存在を初めて知ったのは、中経連に組織されている「なでしこの会」から、長野県経営者協会の女性部会に交流会の申し入れがあったことがきっかけだ。

 中経連のHPには「内外の社会・経済などに関する諸問題について調査研究を行い、中部経済界としての意見を取りまとめ、実現に向けて、政府・関係機関等に対する積極的な提言・要望や様々な活動に取り組んでいます。」とあり、長野県経営者協会の広域版といえる。

 3月1日に「中部の魅力を語る なでしこの会」イベント「中部のイイトコ再発見 女性リーダーが語る魅力」が開催された。WEBで参加させてもらった。内容は、中部圏の「住みやすさ・働きやすさ、観光」などについての魅力を語り合うものであった。主に愛知県内のことが多かったが、阿智村のことも取り上げた登壇者もいて、中経連の活動目的にあるように、「面」の広がりが更に必要だろうと感じた。私は、愛知県の良さと現状がよく分かって参考になった。

 愛知県副知事の佐々木菜々子氏からは、「住みやすい、過ごしやすいい地域で、公共交通機関を利用して移動しやすい。子育て支援もあつく、女性が働く場での女性リーダーの育成にも力を入れている。ただ残念なことに女性が上を目指したがらないケースも多く、ロールモデルがいない。いろんなやり方もある。」という意見が出ていた。

 他の登壇者からは「働く環境として性差を感じる。都会と違って、拒絶と特別視の間にいる。」という発言も。

 確定申告期間中で非常に忙しい時ではあったが、いい刺激を受けた時間であったな。

長野県内女性社長比率

 2022年10月末時点で、長野県内の女性社長比率は6.5%という発表があった。前年比0.2ポイント増だとのこと。しかし長野県は全国で3番目の低さである。

 県内の女性社長の平均年齢は64.2歳で、男性社長の平均年齢は61.3歳とわずかだが女性社長が高齢化が進んでいる。

 業種別に女性社長の比率を見ると、不動産業15.8%、サービス業10.0%、小売業9.4%、運輸・通信業7.5%となっている。働く環境として性差を感じる女性経営者は多いかもしれない。

 私が税理士になって40数年。登録したての頃は、本当に仕事がやりずらかった。税理士会にも出席しずらかった。そのころと比べると、今は年を重ねただけに言いたいことも主張しながら、仕事をこなしている。でも社会的に、まだまだ性差を感じる。少しでもそうしたものが少なくなるように、前を向いて歩んで行きたいと思っている。

雛あられ

 確定申告時期もあと半分となった。みんな頑張っていてくれて本当に助かる。時間に追いかけられる生活をしていると、季節の移ろいを忘れ、今日は暖かいな・・・と感じたら、間もなく2月が終わるときになっていた。

 そんなことの繰り返しの中で、今年も「あ、春なんだ」と思い出させてくれる出来事が今日あった。仲良く(?)させていただいている竜ケ崎支部のS税理士。S先生から今年も雛あられと干芋が届いた。S先生とは何年のお付き合いになるだろうか?なかなかお会いすることはできないが、機会があるごとに手紙で近況報告をしている。

 追いつめられたようにがつがつ仕事をやっている私の姿がS先生に見えているんだろうな。ホッとするS先生からのお届け物。春です。雛あられをいただいて、いつも私の春が始まる。

 春が始まるとともに心も温かくなる。

 明日からまた頑張れるわ。夕方ちらちら雪が舞う中を散歩しながら、S先生への感謝の気持ちが沸々と湧いてきた。

学校評議員会

 N学校評議員を担って何年にもなる。1年に3回評議委員会は開催され、その都度、現在の学校教育に触れている。今年度3回目となる評議員会では、この3月の卒業予定の生徒が2名出席して、3年間に学んだことを発表してくれる。

 K君は、大きな役割を担ってやり遂げた結果、「周りを見ることができるようになった。一つの事業にかかわっている人たち全員が、やるべきことをやらないと成功しない。そのために自分がどう動けばいいかも学ぶことができ、人間として成長できたと思う。自分勝手ではなく、自分から何をすべきかを学んだ。これからの進路、人生に生かしていきたい。」と発言してくれた。

 指示待ちの多い若者の中で、一人でもこうした若者がいることは嬉しい。

 生徒会長をやったN君。「新しいことをして新たな風を吹かすなかで、生徒同士のぶつかり合いもあったが、ポジティムにとらえ、結果、自分自身や周りをよく見る力や真価が問われる姿勢が身に付いた。」

 生徒会長という立場に立った経験が、全体を見ながら引っ張っていく力を学んだんだな・・・と、これからの社会生活においても大いに期待できるんだわ。こうした人材は、各企業でも手に入れたいだろう。

10年前のレジュメ

 Yさんという方から今後のことについて相談に乗ってほしいとの連絡があった。私は人の顔と名前を覚えるのが苦手で、Yさんとは初めてお会いするんだなと思っていた。

 Yさんは70代前半の品のいいご婦人であった。相談内容は相続関係。自分の持っている財産はわずかであるが、娘たちが揉めないように今のうちから何とかしておきたい、ということであった。そして唐突に差し出されたレジュメ。それは10年前にあるところで私がセミナーの講師を引き受けた時に作成し、使用したものであった。

 ヨレヨレになっていたが懐かしかった。

 Yさんは言う。「先生のセミナーを受けて、何回もこの資料を見直ししながら、今後どうしたらいいんだろう・・、と思っていました。」と。10年前だから現在と時代も変わっていて、Yさんの考え方だって大きな変化があったと思う。けれどYさんにとってこのレジュメは一つの拠り所だったのだろう。

 私は嬉しかった。お互いに10年間元気であってここで再開できたこと。10年間レジュメを片手にいろいろ考えていたが、思い切ってYさんが私を訪ねてきてくれたこと。そして10年前のレジュメを大切に活用していてくれたこと。

 Yさんの話を聞きながら、今後のYさんが安心して生活できるような話をさせてもらった。

 税理士は税金を計算するだけでなく、いずれは相続を迎えるにしても、どうしたら平安な気持ちで生活できるかの相談に乗ることの大切さも感じている。無料相談をどんどん活用してほしいと思う。

未来へのチャレンジと変化の兆し

 荻原長野市長の講演を聞く機会があった。演題は「未来へのチャレンジと変化の兆し」。長野市の弱みから長野市を変えていきたい思いについて熱く語ってくださった。

 まず「これだ!」という長野市の観光資源がないという弱み。例えば大岡の「聖山」の「聖」の字を強調し「聖地」のような売り方もいい。

 移住・定住にはかなり力を入れている。特に山間地の住自協は頑張っているが、他の自治体の方が移住者は盛んである。移住・定住が進んでいる地域の意見や情報、ノウハウを市内全域に広げていく取組をしていきたい。

 新たな産業団地を市内で見つけながら企業誘致を積極的に行っていきたい。

 長野市はオリンピック・パラリンピックで得た世界的知名度をまだまだ使い切れていないと感じる。インバウンドも戻ってきているので、長野の知名度をより一層強力に使っていきたい。

 このように長野の弱みを一つ一つ拾い上げながら、強みに変えていくことが必要だと思っている。

 荻原市長とは顔なじみになった。ご挨拶をさせていただくたびに、市長から名前を呼んでいただけることがちょっと嬉しい。まもなく長野市の事業の一つである「やまざとビジネス支援事業」の選考会が始まるが、委員長として関わるなど、いろんな形で長野市に貢献できるといいと思っている。

21年事務年度県内相続税調査結果

 関東信越国税局が昨年12月に発表した「2021事務年度の相続税調査状況」。そのうち長野県内の状況は次の通りだった。

1 実地調査件数・・・125件(前年度86件)

2 申告漏れ件数・・・108件(前年度比42.1%増)

3 申告漏れ課税価格・・・36億円(前年度比7.7%減)

4 重加算税賦課対象・・・6億円(前年度比33.3%減)

 また、相続財産の金額の構成比は、現金・預貯金等が999億円(44.2%)、土地等が25.0%、有価証券が12.8%、家屋等が4.9%。

新しい年を迎えて

 昨年11月の終わりごろ、自分にとって大きな出会いが二つあった。一つは新潟へ仕事に行った時のこと。その会社の役員と昼食をともにしながら話題になった「信濃川流域の火焔型土器」のことだ。信濃川流域で生み出された縄文文化を象徴する火焔型土器。信濃川火焔街道なるものがあり、その話に没頭した。火焔街道は、訪問した会社のすぐ近くをスタート地点としている。

信濃川火焔街道のスタート地点となる新潟市歴史博物館「みなとぴあ」

国宝 笹山遺跡出土火焔型土器

 今年少しずつこの街道を回ってみようと思う。すごく知的刺激をいただいた。その刺激を確実に自分のものにしないともったいない。

 そして二つ目は、その2日後の八十二銀行の松下頭取の講演の中で聞いた言葉がきっかけとなって出合った清水英雄氏の著書だ。「ありがとう」を中心にたくさんの有難うにまつわる本を執筆している。その中で学んだ「お疲れ様」ではなく「お元氣さま」という想い。この「お元氣さま」も私にとっては大きく心に残る言葉だった。

 松下頭取も行員には、「元氣で明るく」と言っているとお聞きした。その根底には、この「ありがとう」精神があるのではないかと・・・。「お元氣さま」でこの1年事務所も元氣で明るくいきたい。

 税理士になって40年以上が過ぎた。一つ一つが積み重ねで、得たものが多かった。各企業の後継者にも、こうした宝物を伝えていきたい。それを自分の使命と思っている。

「気」じゃなくて「氣」のこと

 事務所に電話をしたら、明るい声で「お元氣さま」と出てくれた。あまりにも早い対応に、一瞬言葉が詰まってしまった。すごく嬉しかった。そうだよね。「お疲れさま」という負の言葉より「お元氣さま」はずっと明るくなる。そばでその言葉を聞いている人も明るくなる。すると全体が明るくなって、前向きな職場になっていく。

 皆さん、ありがとう。

 「お元氣さま」の「氣」のことについて。意味が三つある。

 一つ目は、日本人の命の源である「お米」に対する感謝の心の表明。

 二つ目の理由は「米」の字を分解すると「八十八」になるが、米を収穫するまでに八十八回も手をかけるというこまやかな心遣いに対する感謝。

 三つ目は「氣」から米を取った「气」は雲を具現化した文字で大自然、大宇宙までも表している。「米」は四方八方にエネルギーを噴出しているさまでもあり、人間は大宇宙からエネルギーを吸収すると同時に、外に向かってもエネルギーを発し続けていることであり、その根源的な意味に対する敬意の表明として「氣」を使っていると、清水英雄氏は書いている。(ありがとう戦略)

 今まで何気なく使っていた「気」もこれからは「氣」だわ。文字に込められた想いや意味を大切にしていくことに気が付いた。