トップマネジメント懇談会

 長野県経営者協会主催のトップマネジメント懇談会が軽井沢で開催された。33回目の今回は「情勢の活躍について考える」をテーマに、講演においては2名の人が登壇し、その後パネルディスカッションが行われた。

 講演最初の登壇者は、株式会社キングジム・取締役常務執行役員の木村美代子氏である。『多様性を生かした価値共創・お客様と作り上げたサービスと企業成長』という演題である。

 多様性を生かした価値共創から生まれた事業内容が非常に興味深かった。特に消費者からのアンケートや商品の購入分析結果から、同じ商品でもパッケージを変えたり、また商品のセット方法などを工夫し、またどのような消費者対象にその商品を販売するのか等ネット販売による面白さがあった。まもなく開催される株主総会で社長に就任するそうだ。

 2回目の講演は、中電クラビス株式会社取締役岡野喜子氏である。岡野氏とは以前から面識があるだけに、とても楽しみであった。演題は『女性活躍について・自分らしく働く環境づくりを目指して』。

 今まで歩んできた人生においての気づきや工夫、提案、変化等を話してくださった。岡野氏が経験した窮屈さは、結果岡野氏自身への気づきにもつながったのがだ、そのことを聞いて、自分にも同じようなことがあったことを思い出した。

 岡野氏の言葉『女性活躍は多様な人材に向けた取組・Enjoy Working』は印象に残った。

長野県経営者協会と連合長野との懇談会

 長野県経営者協会と連合長野の懇談会が開催された。今回は、三浦労働局長から、長野県内の雇用・失業情勢、雇用・労働分野における各種支援・推進策についての話をお聞きし、意見交換が行われた。

 長野県内の雇用状況については、いまだに人手不足が続いており、個人的には、肌感覚であるが副業・兼業を行っている労働者が増えてきているようだ。副業者を受けいれる企業側の労働者に対する認識・知識が乏しいような感じも受けている。

 長野県において副業者がどのくらいの割合でいるのかを質問したが、把握はしていなかった。

 企業によっては、副業を全面禁止しているところもある。この懇談会に出席した労働組合が所属する企業も全面禁止状態だと言っていた。(本来は全面禁止はできないはずだけれど・・・)

 労働者側に立てば、収入が少なく、その不足分を副業で賄いたいという希望が多いが、組合で掛け合っても進展しない状況ということも聞いた。

 企業は人件費をコストととらえてはいけない。三浦労働局長の演題にもあったように「安心して働ける信州のために」経営者は考えていかなくてはならない。

 もう一つ、女性の活躍推進の中で、「えるぼし、プラチナえるぼし認定」と「くるみん、プラチナくるみん認定」の話があった。県内においてはえるぼし認定件数は28社、プラチナえるぼし認定件数は0社。またくるみん認定件数は84社、プラチナくるみん認定件数は17社である。

 この件についてもひとこと言わせてもらった。「えるぼし」も「くるみん」も女性活躍がしやすいように設けた制度とはいえ、大企業、中堅企業のための制度になっている。税制でもこれらの認定を受けると優遇される。中小企業が取り組みやすい制度設計をするべきだと以前から感じていた。この認定制度からして、ますます格差が拡大する一つの要因にもなっていると私は感じているのだ。

 普段から感じていることを発言してきた。もっと中小零細企業のことも視野に入れた制度になっていかないかなあ~と、常日頃考えている。

ぼくのおじいちゃん

 クライアントで信濃町にある法人の3代目社長が本を出版した。本の題名は「ぼくのおじいちゃん」。このおじいちゃんは2代目であり、今の会社を大きくした人物である。

 『一人の企業家の人生とその周辺を掘り下げる事で、大戦から敗戦、戦後の復興の様子、その実際を、「鳥の目」ではなく別の視点「虫の目」から観る、違った角度から眺めることができると思う。』

 『荻原秀貞氏の人生、ストーリーが数十年後、数百年後かに意味を持つ内容なのかは誰にもわからない。じいちゃんの奇譚は、信濃町においては振り返られることもあるかも知れない。長野県というレベルにおいてはまず無い。荻原家が続いていったとしたら、このクロニクルは少なくとも一族の間では意味を持つだろう。』と最初に綴られている。

 この法人や経営者家族とは20年ぐらいのお付き合いだ。おじいちゃん(2代目経営者)とのお付き合いは、あまり長くなかった。しかし偉大な経営者であったことは知っていた。

 この本を読んで、知らなかった荻原秀貞氏の思いと教訓そして偉業が分かり、今、会社が抱えている課題も一緒に解決していく『力』となっている。

 この本には、地域の会社や著名人が実名で登場し、いろんなエピソードが書かれている。まさに荻原秀貞氏と会社のクロニクルなのだ。

 どんどん引き込まれる本をいただいて感謝です。

カーテン向こうのバイオリン

 仲良くしているクライアントのHさんから、「この本面白そう」ということで紹介された『WORK DESIGN』をさっそく購読始めた。

 冒頭から引き込まれる内容で、改めてジェンダーやアンコンシャス・バイアスを考えるきっかけとなる。

 1970年代のアメリカの5大オーケストラメンバーは、女性の演奏家割合が5%だった。現在は35%以上が女性演奏家を占めているオーケストラが増えたそうだ。そこに至るに、どんなことが行われたか・・・。「ブラインド・オーディション」が採用された結果である。

 「ブラインド・オーディション」とは演奏家の採用試験で審査員と演奏家の間をカーテンで仕切り、審査員には演奏者が分からないように演奏してもらった。ボストン交響楽団が始めたそうで、女性演奏家が採用される割合が飛躍的に増加したとのこと。

 本来は演奏家の採否は人種や性別等は関係ないはずだが、女性演奏家が一人もいなかった時代もある。またその楽団に所属していた演奏家たちも何の問題も感じていなかったのだろう。

 時代は変わった。問題の認識から始まり、1枚のカーテンを使っての決断と課題解決がオーケストラを一変させた。

 女性税理士として40年以上の時が過ぎた。10年ぐらい前までは、非常に生きづらい時代だった。いろいろな役を担ったが、組織が大きくなればなるほど、トップであっても難しいものがあった。唯一、税理士会支部長の時には、他の役員や会員の理解もあって思い切ったことができた。これは感謝だ。

 自分の事務所においても、対外的にも、1枚のカーテンを使っての決断や課題解決をしていくことが、今後の事務所の在り方へのヒントになった。もしそのカーテンが透明だったら・・・なんていうことも考えて、ね。

北陸三県・長野県経営者協会

 福井県の視察2日目は、福井県立恐竜博物館と越前大仏の拝観である。

 福井県立恐竜博物館には9時前に到着したが、すでに大勢の人が並んで開館を待っていた。コロナ前での来館者数は年間93万人、現在は100万人に近くなっているそうだ。福井経営者協会の役員もすでに何回か訪問しているとのことだ。

 なぜ福井県が恐竜なのか。始まりはワニ化石が1982年に発掘されたことであった。そこから第1次調査がスタートし、第4次調査が昨年終了している。その間、国内で新種認定された恐竜11種のうち6種を産出しているとのことだ。

 福井県立大学では、恐竜学部の2025年4月開校を目指しているとのことで、2年次から4年次のためのキャンパスはこの恐竜博物館の隣に設置される予定だ。恐竜を含む古生物学や地質学の教育・研究を通して、現代社会の諸課題を探求・解決できる人材を養成することを目的にしている。1学年定員30名。人数は多くないが、地元の特徴を生かした学部ができる点からして関心深い。

開館を待つ人たち。長~い行列が出来ていた。

限られた時間内で自由に見て回った。

ヨロイ竜類

全長約25メートルのディプロドクス。アメリカユタ州から発見された。

子供たちに人気のティラノサウルスの頭骨で本物。

ケナガマンモス

 一つ一つ丁寧に見て歩けばかなり時間がかかるだろう。この恐竜博物館に来て一番の学びは、県立大学とのコラボが始まろうとしていることだった。

 次に訪問したのは、大師山清大寺の越前大仏。バスでだんだん近づいてきた建物を見て、一般的な寺より近代的(?)と感じていたら、昭和62年に落慶したそうだ。

 地元のボランティアガイドによると、実業家の多田清氏が成功した恩に感謝して、個人の財を投げうって祖先の眠る地に建立したとのことだ。

門前町の参道を歩いていくと大門。

大門には仁王様。

中門。

 中門を抜けると大仏殿が。間口58m、奥行き48m、高さ52mの鉄筋コンクリート造りだそうだ。4階建てで一番上の屋根で雪を受けられるように設計されている。また窓を多くして、殿内に自然光が入るようになっている。

大仏殿

大仏座像。穏やかな表情で、2階から大仏に面すると、大仏との目が合う。高さ17mで奈良の大仏より大きいそうだ。

堂内には三方の壁に棚が11段あり、そこには小仏が1281体安置されている。うち1体は金の小仏。

回廊と五重塔が見える。

五重塔。高さ75mで日本一の高さだそうだ。各階に石仏や金仏だ安置されていた。

五重塔の最上からの眺望。眼下に大仏殿。

荒島岳がよく見えた。

 私財を投じて建立されたという寺があるのを知ったのは初めて。越前は面白い。今回の視察に参加する前に、司馬遼太郎の「街道を行く・越前の諸道」を読んできたが、今度はゆっくりと司馬遼太郎の足跡をたどってみたいと思った。

 今回の勝山市での視察で地域の経済ということを別の観点から察することができたのが収穫であった。

北陸三県・長野県経営者協会役員協議会

 今年も北陸三県(富山・石川・福井)と長野県の経営者協会役員協議会の時期がやってきた。今年の当番は福井県経営者協会である。福井に各経営者協会の役員が集合し、福井の産業を担う企業を視察した。

 まずセーレン株式会社のTPF事業所の視察。セーレン(株)は絹織物の精錬業として創業され、以後繊維を中心とした産業を横に広げていっている企業である。具体的な事業セグメントは、車両資材(カーシート材、インストルメントパネル、エアバック基布等)、エレクトロニクス(伝導性素材、高性能ワイピングクロス、高強度糸、精密機械等)、アパレル(ファッション衣料、インナー衣料、スポーツ・アウトドア衣料等)、環境・生活資材(住宅外壁用透湿防水シート、オフィス・インテリア素材、土木資材、介護関連素材等)、メディカル(化粧品、医療関連素材、医療資材、介護資材等)である。

最初に動画での説明があった。

 その中で心に残った言葉。

 『夢は見るものでなく実現するもの。実現できないものは夢と言わない。夢で世界を変えていく。夢をその先に。いつだって変わり続ける。』

 『顧客が望んで、ライバルが提供できない、セーレンだけの提供・・・が差別化している部分である。』

 自分の事業を振り返った時に、経営者として響く言葉だ。

車両素材の展示品。

ピュアセリシンによる化粧品等のコーナー。

エレクトロニクスのコーナーで、宇宙関係の分野の展示。

大型ジェットプリンターによる世界地図もあった。

視察中に壁に掛けてあった行動指針。昇進試験にも必ず出題されるぐらいに、社員に徹底していると聞いた。

 セーレン(株)視察は、経営とは何かを学ぶことが多かった。

 次に向かったのは、福井石油備蓄基地である。石油の供給が不安定になっても国民生活や経済に混乱が生じないよう、巨大な原油タンクに石油を備蓄している。全国に9か所あり、苫小牧にもあるらしいことを今回知った。知っていれば、CCSに視察に行ったときに寄っただろうな。

最初に福井石油備蓄基地の説明をしてもらった。

展示場では原油があった。

基地周辺の環境をどう保護しているかの説明もあり。

オイルシェール。石油の代替エネルギーとなりえるものだそうだ。

原油の放出と受け入れのメカニズムの説明版。

原油の放出と受け入れのメカニズムの模型。

原油が貯蔵されているタンク。直径82.5m、高さ24mのタンクが30機設置されている。

 この原油タンクの基礎はサンドコンパクションパイル工法により地盤改良をしている。屋根は、雪の重みに対して十分な浮力と強度を有するダブルデッキ型の浮き屋根構造となっている。そして万一の発災に備え、タンク上部14か所にエアフォームチャンバーを取り付けてある。

 模型を見ながら以上のような説明があり、現地で確認した。

ワークショップ・ビジネスリーダーとしての心構え

 長野県経営者協会主催の「ビジネスリーダー育成を目指すワークショップ」がスタートしている。今年は23回目である。毎回20名限定でワークショップが繰り広げられているが、22期から「ビジネスリーダーとしての心構え」をテーマに、碓井会長が指導講師となって、参加者の心構えなどを改めて引き出すワークショップの時間も設けられた。

 碓井会長の話を聞いたうえで、参加者が一人一人事前に与えられたテーマにつき発表をし、質疑応答で終わる。 特別にオブザーバーとして聴講させてもらう。

 碓井会長からは「リーダーへの皆さんへの期待」ということで、日本の状況も含め多岐に渡る話があった。「理念は大切だが具体性を持つこと。具体性のある志を持つことが大事である。」と強調され、

1 志(ビジョン、ゴール、パーパス)を掲げる

2 常に前向きに考え行動する

3 己(強み、弱さ)と時代の流れを把握する

4 自ら決断する勇気を持つ

5 周囲を巻き込む

ということを心掛けながら、志を力に、志を成し遂げてほしい、と締めくくった。

 この最後の碓井会長の5つの言葉は、以前から自分も思っていたことで、改めて自分にあてはめ、進むべき道(?)と考えが明確になった。

ワークショップ参加者の発表には、一つ一つ納得できるものが多かった。みんな自分の働く企業をこのようにしたい、という情熱を持っている。

長野県経営大学

 長野県経営者協会主催の長野県経営大学では充実した特別講演会が計画実施されている。今回の特別講演会は、京都大学・複合原子力科学研究所・所長・教授の黒﨑健氏が「原子力の魅力と課題、原子力イノベーション実現に向けて」という演題での話だった。

 個人的に非常に興味のある分野であり、6年ほど前にチェルノブイリまで見学に行っている。

 今回の講演では、原子力の魅力と課題、原子力発電を取り巻く状況、次世代革新炉の開発等について、最後には質疑応答で終了した。

 原子力がどう見られているか、の事例の一つに「ドラえもんの動力源」について触れた。ドラえもんの動力源は「原子ろ、何を食べても原子力エネルギーになる」であったが、ある時期を境にドラえもんの動力源の説明から「原子ろ」や「原子力」という文言が消失しているとのことだ。てんとう虫コミックスドラえもん第11巻の最近の版では空欄になっている、ということが衝撃的であった。

 既存の原子炉の将来像では、経済産業省第24回原子力小委員会からの下記の資料で興味深い内容を聞いた。

(経済産業省第24回原子力小委員会 HPより)

 36基の原子力発電所がすべて稼働したとしても、2040年代以降発電量は大幅に減少する見込みになっている。今後生成AIがさらに発展していくが、生成AIは多くの電力消費があるらしい。

 原子力発電を含め、我が国の電力問題は深刻である。多岐にわたり原子力の話が続いた。

 COP28では「2050年までに世界で原子力発電3倍」が提案され日本を含む22か国が賛同している。次世代革新炉の開発・建設と原子力分野の成長が進んでいくだろう。

 2024年6月24日の日経新聞に掲載されていたが、日経新聞が行った「社長100人アンケート」では原子力発電所の新型炉のみ増設すべきが32.1%、新型炉以外も含め増設すべきが22.6%と新増設を支持する声が過半となり、再稼働を進めるべきも71.3%になった。理由として、「安定供給」「エネルギー自給率の向上」が挙げられている。

長野優法会・通常総会記念講演会

 長野優法会の第32回通常総会が開催され、記念講演として柔道家の篠原信一氏が「夢言実行」という演題でお話をいただいた。

 篠原氏は2000年のシドニーオリンピックで100kg超級決勝で銀メダルを獲得している。この決勝は、のちに世紀の誤審と語り継がれるフランスのダビド・ドゥイエとの戦いであった。篠原氏の柔道家人生で経験した内容を話してくれたが、いかに自分の手でつかみ取っての人生を歩んできたかの内容に、私は感動し、また自分の人生を振り返るきっかけにもなった。

 天才にはかなわない、天才には負けないよう、自分を追いこんで逃げることをせずに2~3倍練習を重ねた。その中で柔道でも大切だとされている「心技体」がいかに自分の結果を左右するか経験した。「技」も「体」もトレーニングしていれば落ちることはない。しかし「心」は振れ幅が大きい。2000年のシドニーオリンピック決勝で経験したことであった。

 開始から1分半ぐらい過ぎたときに、自分が1本とったと思ったのに電光掲示板にはダビド・ドゥイエにポイントがついていた。ここで混乱が始まる。「負ける、負ける」とい気持ちが先立ち技がかからない。結果篠原氏は銀メダルとなった。

 試合が終わっての涙は、「慌ててしまった自分が悔しく、なぜもう1回投げてやろうかと思って挑まなかったのか・・・。そんな自分に悔しさが残った。」とのことであった。

 篠原氏は当時を振り返って言う。「気持ちが切り替えられないから負けた。」と。技術は80%、気持ち(心)は110%ないとダメ。心の部分が欠けてはだめだ。

 さらに篠原氏は続ける。夢、目標を持つ大切さがある。自分は怠け者であったが、目標をもって踏ん張った。「信念」であった。「信」は「人に言う」、「念」は「今の心」。つまり今思ったことを人に言って頑張った。必ずメダルを取ると人に言って、それが達成できるように練習した。 ただシドニーオリンピックでは「心」が欠けた。

 篠原氏の柔道人生においての「信・技・体」と「信念」の在り方に、自分の税理士人生を重ねた。そういえば、資格を取得しようと思って勉強していた時に、自分にいいきかせ取り組んできたことは「今日できない人間に、なぜ明日できるか」という「信念」であった。

 今事務所に在籍するK税理士も同様であったと思う。K税理士は東日本大震災を経験している。その時に一番困ったのは水問題であった。給水所に毎日並んだが、その際にも税理士受験の教材を手放さずに、給水を待つ間も税理士試験勉強をし、その年に合格したのだ。そのことを本人からでなく父親から聞いた。K税理士も「信念」があって税理士になった。

 篠原氏の柔道家人生を知って、改めて今までの税理士人生やこれからの自分が歩んでいく人生を考えるきっかけになった。

苫小牧市産業経済部との懇談会

 苫小牧CCS実証試験センターの視察の後に、苫小牧市産業経済部との懇談会が行われた。テーマは「苫小牧市の立地環境とゼロカーボンの取組について」で、港湾・企業振興課の内山副主幹と力山課長、新谷主事からプレゼンをしてもらった。

 苫小牧市役所の建物が素晴らしい。昨日、歩いて外観だけを確認していたが、最上階の12階は展望回廊になっていて、苫小牧市内を東西南北見渡せることができるようになっていた。

 事前に訪問した苫小牧CCS実証試験センターもよく見えた。

北西方面。遠くに苫小牧市のシンボルである樽前山が見える。

正面奥に王子病院。王子製紙が経営する病院。左の通りは旭大通り。

中心にオイルターミナル。その右にCCS実証実験センターの分離・回収設備が見える。

苫小牧小学校と中学校。校庭が広いわ。

左から内山副主幹、力山課長、新谷主事。

 苫小牧は北海道の物流・経済を支える交通の要である苫小牧港、高速道路、新千歳空港が充実している。そして広大なスケールの産業用地があり、10ヶ所の工業団地、約800社の立地企業が参加し、多種多様な産業が集積している。

 苫小牧におけるCCS大規模実証試験が実施される様になってから、苫小牧市の企業誘致の風が変わったそうだ。その後どんどん企業が誘致されてきた。

 また苫小牧は、ゼロカーボンと地域産業振興がマッチしている。

 水素の取組、CCSの事業化に向けた取組、e-メタン製造の取組等がなされていて、苫小牧を拠点とする産業間連携も目指している。北海道は、道庁が中心となっているというより市単位での取組が先行している。こうして企業が誘致できるもう一つの要因は、道庁と苫小牧市の補助金が充実していることも要因となっているとのことだ。産・官・学の連携においては、学が少し弱い。

 また、今話題になっているラピダスは地元自治体と協力し、2030年までに北海道バレー実現を目指すとのことで、その影響もどう出てくるかだ。

 これだけ多くの企業が進んで進出しているので、人口の増減を質問した。結果は社会増よりも自然減のほうが多くなり、微減しているそうだ。高齢化率は35%、とは言っても他の地域より低い。色々な事業が実用化に向けて走り出すと増に転じるだろうとのことであった。

 長野県として学ぶことが多かった。苫小牧市との懇談も非常に刺激を受けた時間であった。