長野県に「住みたくない」理由

 地元紙が行った調査結果が紙面に掲載されていた。県内公立高校3年生2千人を対象にした男女共同参画に関する意識調査だ。

 「県内に住みたくない」と考える女性は15%で、男性9%。理由はいろいろあるが、「性別を理由に何かをやらなくてもよい、やらなくてはならない」などと言われたこともあり、性別による偏見や差別などを理由に地元から離れたいと思っている人が7%いた。

「住みたくない」理由に

① 他に住んでみたい地域があるから

② 娯楽や遊べる場所が少ないから

③ 交通が不便だから

④ 希望する仕事や魅力ある仕事がないから

⑤ 地域の人づきあいが煩わしいと感じるから

 以上の項目は今までも挙げられてきたが、 性別による偏見等の理由で地元から離れたい・・・ということがあるのは、今まで意識をしたことがなかった。

 上記については、どのように対応していったらよいかが議論されてきていたが、性別役割意識も影響していることについては、県民全体が変わっていかなくてはならない部分だ。

 経営者側として、働きやすい環境を整えるということに視点が集中していたが、無意識の性別役割意識も変えていかなくてはならないことに気づいた。

 今年の春、採用した2名の新卒者が入社する。働く環境を整えるとともに固定的な性別役割分担意識をのぞいていかなくてはならないことを、改めて感じた。

新春講演会・賀詞交歓会

 長野県経営者協会主催の新春講演会と賀詞交歓会が開催された。

 碓井会長のあいさつでスタートした。要旨は下記の通り。

『新しい知恵を生み出し、新しい価値を作り出す。国を豊かにし、安全保障を担保する。いかに世界に対する日本の存在感を出していくか。

 また若者、女性を登用し、競い合いながら切磋琢磨して国を豊かにしていくことが必要。英知とともに、従業員とともに入社する若者たちの期待に応える環境を作ること、しっかりした期待できる環境、価値を作り出すことによって、企業、経済が成長する。

 今まで厳しい環境の中、自然とともに産業を営んできた。これからはその延長線上ではなく、新しい価値を生み出していくのだ。そうした経営者の覚悟が問われる1年である。』

 一言一言が自分の胸に落ちた。、企業や国が発展するために新しい価値を生み出すことが必要であり、経営者の覚悟が問われる1年。

 自分にとって、これからの1年の在り方をどう見出しどんな覚悟をもって歩んでいくか、その姿が問われていくのだ。企業規模の問題ではないと思っている。

 新春講演会では、元女子バレーボール日本代表の大山加奈氏が「繋ぐ~バレーボールが教えてくれたこと~」という演題でお話しをいただいた。

信州日経懇話会・第5回例会講演会

 信州日経懇話会を毎回楽しみにしている。出席者もリピーターが多く顔なじみになっているが、それだけに皆さん惹かれるものがあるのだろう。

 今回は、ミネベアミツミ株式会社 代表取締役CEO 貝沼由久氏 が「ミネベアミツミ、2.5兆円企業への道筋」という演題で講演してくださった。

 東京プライム市場に上場されているミネベアミツミは、ベアリングなどの機械加工品事業、電子デバイス・半導体・小型モーターなどの電子機器事業、自動車部品・産業機械・住宅機器事業等を行っている。これらを8本槍(コア)とし、その定義を、

1 大きな市場の中のニッチ市場であること

2 その製品は簡単な技術革新ではなくならない

3 当社の強みが活かせる製品であること

4 「槍」とされる各製品間でシナジーヶあること

としている。リスク分散の観点から、シナジーのある複数の事業を持っているのだ。

 そうした中の経営者としての転機と節目はタイの大洪水とM&Aであった。

 リスクマネジメントがしっかりできているか。例えば、一生懸命勉強して明日が試験というときに、朝起きたら大雪で動けなかったら、あなたはどうしますか?とか試験に行ったら筆記具がない、というときにどうしますか?と問われた。成功は何かあったときにすぐどう対応するかである。

 2011年のタイ大洪水で被害を受けたときにも、リーダーが先頭に立って動いた。安全のために引き上げてほしいと伝えたが、「私たちの工場だから自分たちが必ず守る」と復興に注力してくれたそうだ。

 何か想定しないことが起こったときにどう対応するかによって成功の道がわかれる。

 社是は「五つの心得」に基づいた透明度の高い経営で、「五つの心得」とは下記の通り。

1 従業員が誇りを持てる会社でなければならない

2 お客様の信頼を得なければならない

3 株主の皆様の期待に応えなければならない

4 地域社会に歓迎されなければならない

5 国際社会の発展に貢献しなければならない

 成功する経営者の心得に改めて惹かれた時間であった。

ヤマを動かそう!信州・公開討論会

 「ヤマを動かそう!信州」という団体が、「国会議員とジェンダーについて考える」というテーマで公開討論会が開催された。私はWEBで参加し、大変いい刺激をもらったと思う。

 1999年の国連総会で採択された「女性差別撤廃条約選択議定書」について、日本政府は審議に参加し決議に加わったが、まだこれを批准していない。2024年10月には、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)より、日本政府への懸念事項と勧告が出され、2年以内に4項目について進捗の報告を求められている。

1 選択的夫婦別姓のための法改正

2 国会に女性議員を増やすための暫定措置としての供託金減額

3 緊急避妊を含む安価な近代的避妊法への十分なアクセスを提供。16歳、17歳の少女が避妊薬にアクセスする際の親の同意要件の撤廃を含む。

4 人口妊娠痛絶を求める女性に対する配偶者の同意要件を撤廃するための法改正

 こうしたことを踏まえ、長野県関係の国会議員との意見交換会が行われたのだ。ただ残念なことに、立憲民主党議員5名が出席され、自民党議員が一人もいなかった。超党派で話ができればよかったのだが、皆さん別に予定があったようで・・・。

 いろいろな意見交換がなされ、各議員も各自の考え方を示してくれた。皆さん政治への女性参加を強調していた(2年以内に報告義務が課せられている2項目目にあたる)が、心からそう思っているのだろうか・・・と感じたこともあった。

 選択的夫婦別姓については、日本の社会の在り方を大きく変えるものだが、自民党以外は全党賛成している。自民党は、美しい日本の伝統を崩すことになるとか、戸籍制度がなくなってしまうというのが主な理由だ。驚いたことに、28年前から長野県議会の中でも「夫婦別姓」についての質問が出ていたそうだ。

 報告が義務付けられた項目3と4については、「今日は女性議員がいないから、まともに答えられる人がいない。なかなか自分のこととして捉えられないのでフラットな議論ができない」という議員側からの意見があった。

 この意見については、非常に疑問を感じてしまった。こういうことは女性議員に任せるから、という意味に捉えてしまった。女性議員を増やすことは必要だが、その必要性の理由がこういうこと?これこそが女性差別に感じた。議員に限らずだが、すべての人が自分のこととして捉え、知識がなければ勉強しながら課題解決に向かっていくことが必要だ。

 包括的性教育が今までなされてこなかったことも、こうした考えが出てくる要因でもあるだろう。早い時期から子供たちに包括的性教育を実施いていく必要があり、また年齢問わず大人にも実施していく必要があるだろう。

 この討論会で感じたのは、出席された国会議員の気持ちの中で、どれだけジェンダーを意識して国民のために働いてくれているのか、どうなのかなあ~ということだった。

関西経済連合会との懇談会

 「公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」との懇談会の後に、「公益社団法人関西経済連合会」との懇談会が引き続きあった。場所は北区のうめきたサイトにあるグラングリーン大阪である。

 大阪駅まで移動し、そこから第2再開発地域にある会場まで徒歩で行った。素晴らしい公園が整備されていて、その中を歩いていくと大きなビルが出現。素晴らしい環境が整備されている地域だ。

 「2025年大阪・関西万博と夢洲・関西のまちづくりについて」というテーマでのプレゼンがあった。先に万博に関しての懇談があったので、どちらかというと街づくりの話を中心にしてもらった。

 万博後の夢洲整備計画は、建物を取り壊し、更地にして大阪府に変換することになっている。関西経済連合会からの提言を受け入れることもあって、夢洲まちづくり基本方針ができている。

 第1期として70haを総合型リゾート(IR)を中心としたまちづくり、第2期は60haを万博の理念を承継したまちづくり、第3期は、第1・2期の取組を活かした長期滞在型のまちづくりが全体のコンセプトになっている。

 2023年4月に国によるIR区域計画認定を受けていることは周知の事実だ。

 懇談会のために大阪駅から徒歩で移動した区域はうめきた2期区域である。「みどりとイノベーションの融合拠点」を目標にまちづくりを行っている。関経連も参画しているとのことであった。この地域は人口流入も多い地域となっているとのこと。やはり魅力あるまちづくりができているところは、自然と人が集まってくるのだ。

 ここは関西の交通結節点であり、多様な関係者が集まるよう工夫され、大企業、中堅・中小企業、スタートアップ、大学等の研究開発への相談・サポートや、各種マッチングやセミナーなどを共同開催する拠点にもしている。

 長野駅前の再開発計画はどうだろうか?この大阪「うめきた」に学ぶことが多いと思った。

 この懇談会は非常に面白かった。

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会との懇談会

 大阪万博が2025年4月13日にスタートする。色々な面でマスコミの報道があるが、長野県経営者協会は、大阪万博の準備及び開催運営を行う「公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」との懇談会を行った。

 場所は、万博会場に近い大阪府咲洲庁舎である。

 大阪駅から何度か乗り換えてトレードセンター前駅で下車。

クリスマス飾りもあった。

庁舎への長い連絡通路を進んでいく。

駅から7分ぐらいで大阪府咲洲庁舎に到着した。

中に入ってみると素晴らしい空間が広がっていた。

連絡通路は2階につながっていたが、「さきしまコスモ展望台」入り口は1階からエスカレーターで。

一つ一つがおしゃれかな。

このエレベーターは最上階まではいかない。中に入っている庁舎のオフィスまで。ここで仕事をしている職員の人たちって、きっと快適だろう。

壁に庁舎案内が掲示してあった。

 懇談会前に時間があったので、「さきしまコスモ展望台」まで行ってみた。平日とはいえ、2~3人の見学者しかいなかった。大阪市内を高いところから見ることができ、建設中の万博会場も見ることができたが、何の説明版もなく、何が何だかわからなかった。これは非常に不親切だと思った。

これだけは分かった。万博会場だ。大屋根リングが見えたから。

大屋根リングが全長2㎞、高さ12m、内径約650mの世界最大級の木造建築物となる。左側はウォータープラザになる予定。

主なるパピリオンは出来上がってきている。

右に見える白い橋は、開催中のVIPが通過するために用意された。改定を通っている地下鉄か船でしかパピリオンの島に行きつけない。

懇談会においては、瀬戸口強一氏がプレゼンを行ってくださり、その後質疑応答があった。

 2025年万博が目指すものは二つある。一つ目として持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献、二つ目として日本の国家戦略Society5.0の実現だ。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」はSDGsであり、未来を幸せにするための世界の祭りということであった。各パピリオン、各国はSDGsの主張をしている。その上にビジネスが乗っている。それらを達成するための Society5.0 であると説明をいただいた。

「万博」では、新しい技術や商品が生まれ、そうした意味でもビジネスにつながるきっかけにもなる。

万博で未来がどう変わるのか?もう変わっているという。例えば岩谷産業が開発した水素船。DX万博が始まっているのだ。

窓の外を見たら、偶然にもその水素船が航行していて、特に瀬戸口氏は感動していた。私も感動した。

 約2兆円の経済効果が見込まれるという。大阪・関西が万博のテーマに沿った新たなイノベーションで発展し、次世代のクリエーターが、自らの才能を世界に向けて発信できることも万博の魅力であるとのことであった。

 残念なことに、何となくいいことしか出てこなくて、埋め立て地が会場になっていることの防災についての説明は、余りはっきりしなかった。南海トラフ地震のために、高い防波堤を立ててあるという説明であったが、具体的に視認することができなかった。

 やっぱり課題はいろいろあるのかもしれない・・・というのが個人の感想。

長野県共生社会づくり調整委員会

 長野県では、「障害のある人もない人も共に生きる長野県づくり条例」が施行されている。その条例に基づき、不当な差別的取り扱いや合理的配慮の提供に係る当事者間の紛争解決のための委員会の設置になっている。

 委員会の前半は公開で、後半は具体てな内容なので非公開で開催される。この委員会に所属して2期目に入った。  

 家族に障害者がいる自分としては、なんとなく方向性が違っているのではないかと感じることがる。方向性というか、こうした条例や条例に基づく「障害を理由とする差別を解消するための体制」がフローチャートでできているが、こうしたものが整えてあるからいいでしょ的な感じが否めない。何か大切なものが欠けているようで・・・。でもそれが何なのか、私はまだよく見えていないのだ。

 条例や規則に沿って物事を進めるのは大切だが、そこにある障害者や事業者の思いがうまく表れていないような気がする。

 「ともいきカンパニー認定制度」がある。これは優れた合理的配慮を提供する事業所を認定する制度だ。この制度も認定したら、その先を認定する県がみていないことも課題だと思う。

 それにしても本日のWEB会議は、非常に聞き取りづらく残念であった。

苦難のとらえ方

 一般社団法人倫理研究所研究員の松本光司氏の話を聞く機会があった。演題は「苦難のとらえ方」で、ご自分の経験からお話をくださった。

 苦難のとらえ方は「苦難は福門」とあるように、苦難を経験することによってもっとよくなれるということだ。よくなるタイミングがあり、未来から引っ張られている苦難ということを忘れずに向き合っていくことが大切である、という一言が、私の心にストンと落ちた。

 久しぶりに心に響くお話を聞いた。とらえ方によって人生は変わっていくものだ。勇気が出てくるんだわ。

卒寿のお祝い

 税理士会上田支部の有志で、長い間続いている資産税勉強会。何年も前からお仲間に入れてもらって、年2度開催される勉強会に出席している。講師は、かの有名な岩下忠吾先生だ。税理士試験合格組にとっては、知らない税理士はいないほど資産税の大家である。かつては税理士試験勉強中に、岩下先生に相続税の講義を受けて、相続税に合格した人も多いはずだ。

 岩下先生が卒寿を迎えた。そのお祝いを東京で開催することになり、仲良しのT先生とF先生と一緒に出掛けた。少し早く東京に行って、浅草演芸ホールでしばしの時間を楽しんだ。おまけ。

その後お祝い会場に向かった。素晴らし嫌気が見える部屋でのお祝い会がスタート。みんなワクワク。

ここではサプライズがあり、みんなで盛り上がった。

 みんなで記念撮影をして3時間のお祝い会は終了した。岩下先生が80歳になっても現役で頑張っている姿に、参加したメンバーは、まだまだ自分も頑張れる!という思いになった。

 岩下先生は、北陸新幹線ができる前から上田に通ってきてくださる。当時は、日帰りが無理で1泊で上田まで来てくれていた。今自分たちが資産税の仕事を自信をもってこなすことができるのは岩下先生の力が大きい。どんどん複雑になっていく税法に対応していくにも大変だが、困ったときには岩下先生という後ろ盾があるので安心だ。

 満足して長野へ戻った。

長野駅でもクリスマスが始まっていた。さあ明日からまた頑張ろう。

長野県の未来と女性活躍に向けた情報交換会

 「長野県の未来と女性活躍に向けた情報交換会」が長野県経営者協会女性委員会と次世代委員会で合同開催された。

 平林専務より問題提起があり、「長野県」という方向からの未来と女性活躍についてのディスカッションが活発に行われた。

 自分たちの経験からの社会や長野県がこうあってほしいという意見や、大人の教育についても話し合われた。

 女性管理職に指名しても辞退するケースが多いという意見がだされたが、それに対しては、自分の経験から、個人の中に眠っている能力を引き出すためにも、そのきっかけとなるワークショップなどに参加させ目覚めさせることが必要、まさに大人の教育という意見をだした。

 また今103万円、106万円、130万円の壁が議論されているが、この壁を178万円まで引き上げれば手取りがいくら増えるということの視点で報道されていることにも疑問を持っている。この仕事に働き甲斐を持っているか、遣り甲斐があるから収入調整ではなく働ける環境の中で働く意識が大事、と私は思っている。働きやすい環境を整えるのも経営者の責任だ。

 給与規定に、「扶養手当」などが付いているのなら、そこから見直すべきだ。当初は扶養範囲で働いて扶養手当を会社からもらっていても、1年通した結果扶養から外れると、支給済みの扶養手当を返金する仕組みになっている会社も多い。「扶養手当」が収入調整になっているということ。こうした企業の給与規定を見直すこことも必要だ。

 持論ではあるが、長野県に若者を呼び戻す仕掛けは行政が主体となって行い、戻ってきた若者をしっかりと定着させるのは企業の役割と思っている。どのくらい自分の企業に魅力があるだろうか。経営者は頭に汗をかかなくてはならないのだ。

 いろんな意見が出て、これからの自分たちが目指して行く行動変容につながっていくきっかけになったのではないだろうか。