長野優法会・通常総会記念講演会

 長野優法会の第32回通常総会が開催され、記念講演として柔道家の篠原信一氏が「夢言実行」という演題でお話をいただいた。

 篠原氏は2000年のシドニーオリンピックで100kg超級決勝で銀メダルを獲得している。この決勝は、のちに世紀の誤審と語り継がれるフランスのダビド・ドゥイエとの戦いであった。篠原氏の柔道家人生で経験した内容を話してくれたが、いかに自分の手でつかみ取っての人生を歩んできたかの内容に、私は感動し、また自分の人生を振り返るきっかけにもなった。

 天才にはかなわない、天才には負けないよう、自分を追いこんで逃げることをせずに2~3倍練習を重ねた。その中で柔道でも大切だとされている「心技体」がいかに自分の結果を左右するか経験した。「技」も「体」もトレーニングしていれば落ちることはない。しかし「心」は振れ幅が大きい。2000年のシドニーオリンピック決勝で経験したことであった。

 開始から1分半ぐらい過ぎたときに、自分が1本とったと思ったのに電光掲示板にはダビド・ドゥイエにポイントがついていた。ここで混乱が始まる。「負ける、負ける」とい気持ちが先立ち技がかからない。結果篠原氏は銀メダルとなった。

 試合が終わっての涙は、「慌ててしまった自分が悔しく、なぜもう1回投げてやろうかと思って挑まなかったのか・・・。そんな自分に悔しさが残った。」とのことであった。

 篠原氏は当時を振り返って言う。「気持ちが切り替えられないから負けた。」と。技術は80%、気持ち(心)は110%ないとダメ。心の部分が欠けてはだめだ。

 さらに篠原氏は続ける。夢、目標を持つ大切さがある。自分は怠け者であったが、目標をもって踏ん張った。「信念」であった。「信」は「人に言う」、「念」は「今の心」。つまり今思ったことを人に言って頑張った。必ずメダルを取ると人に言って、それが達成できるように練習した。 ただシドニーオリンピックでは「心」が欠けた。

 篠原氏の柔道人生においての「信・技・体」と「信念」の在り方に、自分の税理士人生を重ねた。そういえば、資格を取得しようと思って勉強していた時に、自分にいいきかせ取り組んできたことは「今日できない人間に、なぜ明日できるか」という「信念」であった。

 今事務所に在籍するK税理士も同様であったと思う。K税理士は東日本大震災を経験している。その時に一番困ったのは水問題であった。給水所に毎日並んだが、その際にも税理士受験の教材を手放さずに、給水を待つ間も税理士試験勉強をし、その年に合格したのだ。そのことを本人からでなく父親から聞いた。K税理士も「信念」があって税理士になった。

 篠原氏の柔道家人生を知って、改めて今までの税理士人生やこれからの自分が歩んでいく人生を考えるきっかけになった。