信州日経懇話会の例会があった。今回は、日経新聞社・編集委員の安藤淳氏が講師で「進む温暖化、気候リスクを回避するには」の演題での講演。2023年の記録的高温とその原因を導入に、パリ協定やCOP28合意の内容、日本の目標と取組等についての内容であった。
2023年の平均気温が過去最高になったことについて、CO2の排出が原因になっているということ。しかし気候変動(異常気象)がCO2に関連しているかどうかは研究中とのことであった。
講演の中で説明があったが、プラネタリーバウンダリーというものがあることを知った。地球の環境に変化が加わってももとの状態に戻り、地球環境が安定した状態を保てる「地球の限界」の範囲を示したものだそうで、9項目に分かれている。そして現在9項目中6項目で引き返せない状態になっているそうだ。
①気候変動、②新規化学物質、③成層圏オゾン層の破壊、④大気エアロゾルによる負荷、⑤海洋の酸性化、⑥生物地球科学的循環、⑦淡水利用、⑧土地利用変化、⑨生物圏の一体性 であり、限界を超えているのは①、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨だ。(下図参照)
日本の目標と取組も興味深かったが、二酸化炭素回収・貯蓄(CCS)の実証実験をやっているところもあり、機会があれば足を運んでみたいと思った。
最後に温暖化対策で視界が日本を見る目ついての話。
企業に対しては
①優れた生産技術と人材がある
②資金力がある
③高品質な製品を提供
④信頼できる国際パートナー
など高評価で、あまりリスクを取らないがかけている。
政府に対しては
①有力な資金源 は評価できるが
②政府の方向性が間違っている
③政策がぶれる
④透明性に欠ける
⑤スピード不足
⑥科学を重視しない
という評価。世界が日本をどう見ているかを再確認しながら軌道修正が必要だ。非常に高度な内容の講演を久しぶりに聞いて刺激をもらい、考えることが多かった。