長野県経営者協会定時総会記念講演

 長野県経営者協会の定時総会が開催された。役員任期満了に伴い新たに新役員が選任され承認可決。理事に女性二人が加わったことが大きな進歩。

 総会記念講演では、講師に江上剛氏が登壇し「コロナ不況を如何に生き抜くか、いくつかの視点」という演題でお話しされた。

以下要約

失われた時代が長かった。だからこそ今は創造イノベーションの時代である。会社経営において大切なことは5つ。

1 ユーザーの立場に徹底して立つ。

2 己を知る。自分の会社の強み弱みは何か。

3 異端を大切にする。(情勢や障害者、子供他)

4 非効率であること(効率化すぎないこと)

5 思い込みをしない。

 上記1について、プラスチック成型事業を行っている会社の事例。ガーデニングの植木鉢をプラスチックで作った。ユーザーは真こそ欲しいものには金を出す。(満足度)コストの値上げではなくユーザーの満足度を上げていく。

 上記2について、富士フイルムの事例。富士フイルムは化粧品に進出した。フイルムがなくなってきたということは、時代の流れで自分たちが本業としてきたものがなくなる。じゃあどうするか。この時に技術の棚卸を行った。他社より優れているものはなんであるか、立場を越えて議論をし方向性を見出していった。経営者は方針を出さないこと。

 上記3についてはイノベーションのジレンマである。お客さんは来てくれないもの・・・来てくれるように工夫。取引先は売ってくれないもの・・・苦しくても20日締めの月末払いが約束なら実行することで信用を勝ち取っていく。銀行は貸してくれないもの・・・借りないように工夫する。つまり変化に対応すること。成功事例を押し付けずに異端を大切にすること。

 上記4について、効率ばかりを求めてきたが、非効率こそ付加価値につながる。効率化を追ってはダメ。ギスギスしてしまう。非効率な構造のほうが発想が豊かになる。シンガポールの建物は、目的の部屋に行きつくまでに複雑な通路を通って行くようになっている。その通路を通るときにいろんな発想が生まれる。

 上記5について、自分はこれを作っているからこれしかできないはダメ。100年、200年企業は同じことをしてきたのではなく変化してきている。丸井デパートはモノを売らないデパートに、コンビニはモノを売るのではなく便利さを売るという発想。

 仕事が楽しいということはやらされ感がないということである。やらされ感があると、給料をいくらもらっても満足しない。自ら動くことがやらされ感がないこと。「俺についてこい」「俺の言うことを取り入れろ」はダメである。リーダの要件は傾聴受容共感。

 勉強になりました。久しぶりにいい時間を持てたと思っている。