経営者協会長野支部「新春例会」

 経営者協会長野支部の新春例会が開催された。
 支部長あいさつに始まり、新春講演会は『パリ協定後の世界の潮流と企業経営』。講師は東京大学未来ビジョン研究センター教授の高村ゆかり氏で、高村氏は長野県環境審議会専門委員でもある。
 気候変動とそのリスク、パリ協定と脱炭素社会実現を目指す長期目標、パリ協定後の世界の潮流、変わる世界とビジネスについての話であった。

 以下概要。
 2018年の西日本豪雨は、人間活動からの排出により、降水量を6~7%押し上げた結果であることを知った。2019年の台風15号、18号もしかりである。2018年の自然災害による経済損失は台風21号と西日本豪雨だけで約2兆5000億円だそうだ。かつてないほどの気候変動への危機感が高く、「気象非常事態宣言」も長野県のほか市町村が行っている。
 日本の2050年に向けた温室効果ガス削減目標は、2030年において2013年比で26%減、2050年で80%減を目指し、今世紀後半のできるだけ早期に排出実質0を目指している。つまり脱炭素社会の実現である。
 2018年6月4日に開催された未来投資会議での総理は「もはや温暖化対策は、企業にとってコストではない。競争力の源泉であります。環境問題への対応に積極的な企業に、世界中から資金が集まり、次なる成長の好循環とでも呼ぶべき変化が、この5年余りの間に、世界規模でものすごいスピードで進んでいます。」と発言している。それに伴って、ESG投資の拡大が日本でも現れている。
 企業にとって、気候変動はもはや、金融市場における企業価値、サプライチェーンにおける企業価値を左右する本業の問題であり、取締役会が外に向けてきちんと説明する必要がある。つまりは金融・投資家の投資行動、企業価値評価の変化に繋がっていく。
 求められているのは「変化」を見越し、その中での先を見たリスク分析と戦略が必要で、社会とともに課題に取り組み、新たなシステム、新たな価値を生み出すことである。

 事務所においても今までも環境問題に取り組んできた。
 この講演を聞いて、さらなる環境に対する深みを習得し、クライアントにそれを伝達していくことの使命を感じた。中小企業としてできることは何か・・。事務所としてできることは何か・・・?新しい世界観が広がった。

 

支部長あいさつ

 

高村氏の講演

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