浅川葡萄農園の宗さん

 浅川葡萄農園の経営者である宗裕光氏の講演を聴く機会があった。昨年の秋に農園と長野市の支援金を活用した地区200年の土蔵を回収した醸造所の見学をしている。その時以来の宗さんとの出会いだが、改めて宗さんのワインに対する思いを聴くことができて嬉しかった。

 「ワインは食事をおいしく変える富士着な飲み物」であるという。宗さんのワインとの出会い、人生の転機等もの話は初めて聞いた。

 2024年9月に醸造所を開業。そこでの初の果汁の1滴に体が震えたそうだ。

 また浅川という中山間地で2018年10月から開墾をスタートさせ現在に至っているが、これまでの間に中山間地の課題が見えてきて、その課題解決につながるワインづくりを続けている宗さんは、とても輝いていた。

 宗さんが育てたブドウで造った品質の高いワインで、地域を盛り上げるという奇跡が起きている。そうした宗さんの想いと働きに、応援サポーターとしてかかわっていきたいと思っている。

土地収用法第65条第1項第3号

 長野県収用委員に就任して何年か経過した。今2期目である。

 ある事業(砂防堰堤工事)について、権利取得裁決申請及び明渡裁決申立がされた。今回は、その裁決申請等の審理又は調査に関する事務を指名委員として受託した。

 初めて現地調査に参加した。砂防堰堤建設のための土地収用であり、すでにできている作業用道路を利用して、対象土地近くまで移動。土地所有者のうち1名が参加し、一緒に現地での説明を受けた。

 事業目的、箇所概要、対象土地と立木の確認等も含め丁寧な説明があり、それに対しての質問もさせてもらった。

 いつも山奥まで入り込むが、その時に目にする砂防堰堤は無残なものもあった。しかし研究開発がなされ、現在建設されている砂防堰堤は格子に組まれたものだそうだ。

作業道を車で進んで終点まで。ここで事業目的等の概要の説明があった。

右側の谷の奥に砂防堰堤が2基建設される予定。

細い踏み跡をたどりながら登っていく。

谷に人が立っている場所が第1堰堤の中心点となるところ。

対象となる土地と立木。黄色いテープが巻かれている木が対象。スギとカラマツで、広葉樹は対象外だそうだ。

この奥に砂防堰堤ができる。第1砂防堰堤と民家との距離は直線距離で150mとのこと。第1砂防堰堤は谷の口が一番狭まったところに建設するものらしい。

 土砂災害警戒区域に生活する住民のためにも早い実現が望ましい。

 現地調査が終了し、場所を移して審理がスタートした。人定尋問、陳述及び質問を経て審理は終了。いくつか疑問点を質問した。結構起業者とのやり取りがあり、大変勉強にもなり、またその事業においての納得感も得ることができた。

 後日、収用委員会での裁決会議で終了となる。

農業を成長産業にするために

 4月の日経懇話会も大変勉強になった。今回は、元農林水産事務次官・東京大学大学院客員教授の奥原正明氏が講師として「農業を成長産業にするために」という演題での講演であった。

 1 農業の現状

 2 農業政策の歴史

 3 1999年の基本法を踏まえた農政改革

 4 2024年の基本法改正

 5 米をめぐる政策

 の内容での話があり、最後に「農業を成長産業にするために」では担い手が農業者が日本農業をリードしていくことが重要という内容で締めくくられた。

 具体的には、①担い手を軸とした農業構造の確立 ②農地の集約化を前提に大区画化等のインフラ整備 ③担い手の自由な経営展開 ④経営安定対策(セーフティネット)を整備が政策改革であるということ。経済実態の改革として農業界と経済界の連携が必要、つまり流通改革で効率的な流通体系にし、民間主体の輸出拡大をしていく。輸出を前提に、縮小生産から生産拡大に転じる必要があるとのことだ。

 最後に政策提案があった。                                         法律改正により、農地バンクへの貸付を義務づけ、農地バンクに貸し付けられた農地における大区画化等の土地改良事業は、農業者負担を求めず全額公費で行う。また、市町村・農業委員会・農地バンク・都道府県の取り組み体制を強化する。

 仕事柄、農地を持て余している納税者や、中山間地における耕作放棄地等があることに接していたが、特に何か行動をするではなかった。今後、機会あるごとに今回お聞きした政策提案を伝えていきたいと思った。

 非常に勉強になった講演会であった。

米山奨学生オリエンテーション

 ロータリーでは「ロータリー米山記念奨学会」があり、学業・人物ともに優秀で、将来、国際社会で活躍する留学生を支援している。

 1月に選考委員会で決定した米山奨学生のオリエンテーションが行われた。奨学生はロータリーファミリーとなり、勉学に励むこと、ロータリークラブとの良い交流を心掛けることも心得となっている。

 奨学生に対しどのような行動を起こして行ったらよいかを含めての説明をした。その中でATM精神(明るく、楽しく、前向きに)で過ごしてほしいと、私の希望も含めて話をした。

 白鳥ガバナーからは「利他の精神・サービスと奉仕の違い・貴人との縁」などのキーワードが入った含蓄あるご挨拶も頂いた。

 1年後の奨学生たちの姿が楽しみである。

八重原ハム

 東御市に輝くものがある。それは明治24年築の廃校した小学校分校をリノベーションして生ハム工房として蘇らせ、息づいている八重原ハムだ。

 工房を見学しながらそこで作った生ハムをいただくために足を運んだ。

素晴らしいローケーションの中にあり、北東には浅間山がよく見えた。

廃校リノベーションした工房。

豚の骨付きのもも肉が原木になるための準備(磨き・血抜・塩漬け・洗浄)を経て乾燥庫で保管。

乾燥した原木は熟成湖で熟成させる。湿度や温度管理がしっかり行われている。

ある程度熟成した後は真空にして追熟性保管をする。

 素晴らしい職人技。一つ一つ手作業で行っており、生ハムづくりの自然環境に適した場所で素晴らしい原木を作り上げている。

 馬淵博臣氏に説明をしていただき、この工房に関わる人たちの想いに心が震えた。この建物を利用するに至るまでも多くのことを乗り越えてきただけに、輝くものがあるのだろう。

 そばの上に載っているのは生ハムで、まずは生ハムだけでそばをいただく。これがとてもおいしかった。生ハムコロッケと生ハムご飯。そばつゆは生ハムでだしを取っている。

 今まで知らなかった生ハムの世界。新しいことを知ると、周りの人に話したくなるんだわ。

新入社員研修レポート

 今春に入社した3人。うち二人は新卒者である。その二人に長野経済研究所主催の「2025年度新入社員研修」に参加してもらった。翌日の朝礼では、二人から研修の感想の報告が口頭であった。二人とも冒頭に「昨日は研修に行かせていただき有難うございました。」という一言からスタートした。すばらしい。

 そして研修の3日後には、二人から研修レポートが提出された。二人ともレポートの中には「感想」の記載もあった。

 Oさんは「学生と社会人の違いは『目的・責任・評価・人間関係・金銭』のほかに何かあるかなと考えたときに、私は一番に時間の使い方と言葉使いだと思いました。」と書いてあり、「5S」「ホウ・レン・ソウ」「お辞儀」についての学びがあったようだ。接客の七大用語は学生時代に学んで活用していたので自信があるそうで頼もしいわ。

 Tさんの感想は「今日教えてもらったことは明日から使えるようになる、という気持ちで講師の先生の話を聞きました。その結果、社会人としての自覚が芽生えたような気がしました。」とあり、「ホウ・レン・ソウ」、「お辞儀」について印象に残ったようだ。

 「細かいこと等正確には覚えられない部分があるので、テキストを見直したり、自分で調べたり、復讐をしておきたい。」の決意。

 「今回の研修を経て、自分がこの職場の仲間の一員で自分の態度が会社の印象に直結するということを忘れずに、学んだことを存分に発揮していきたいと思いました。これからも明るく元気よく仕事を覚えていきたいです。」の決意。

 これからの二人の成長が楽しみである。

新年度

 新年度を迎え、事務所では3人の入社があった。2人は新卒で1人はベテランさんの中途採用。いつの間にか事務所としては大所帯になっていた。

 外から新しい風が吹き込まれることは素晴らしいな・・・と改めて感じている。

 ATM精神で、「されて嬉しかったことをやっていこう」そして「有難う」といえる1日になるような職場での自分の在り方を意識して行ってほしい。

 ATM精神は、「A」明るく、「T]楽しく、「M」前向きにである。

 経営者側は労働の対価として給料を支払う。労働者側にとっては働くことの一つの目的ではあるが、もっと大切な目的を忘れないでほしい。それは自分の仕事を通して社会に尽くしていくということ。社会貢献につながっている仕事の仕方を忘れないでほしい。

 自己効力感も持ってほしい。「自分なら絶対にできる」、「きっとうまくいくさ」という思いをもっていろんなことにチャレンジをしてほしい。

 新年度に当たってこんなことを考えていたら、自分自身の大きな振り返りになった。

中経連「中部の魅力を語るなでしこの会」との懇談会

 長野県経営者協会女性委員会と中経連のなでしこの会との懇談会が名古屋にて開催された。会場はナゴヤイノベーターズガレージだ。この懇談会は2回目で1回目は1年前に松本にて行われている。

 中部経済連合会は、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、長野県のメンバー企業で構成されている。政策提言活動への参画ができることは魅力的だ。

 ナゴヤイノベーターズガレージの見学からスタートした。中部経済連合会と名古屋市で協力して設立した中部圏イノベーション新拠点だ。以前にここで開催されたイベント「中部のイイトコ再発見 女性リーダーが語る魅力」にwebで参加したが、その会場を訪問出来て嬉しかった。

最初にナゴヤイノベーターズガレージ の存在価値と役割の説明。

AIのSayaさんがいるコーナー。

このようにゆったりしたコーナーもある。

 第2部は、それぞれの会の活動報告がなされ、フリーディスカッションに入った。多岐にわたる話題や課題が出され、それぞれの立場からの意見交換は非常に熱かった。「若い世代の地方定着・回帰に向けた新しい魅力の発見」について、なでしこの会がディスカッションを行ったという報告から、今回の特徴としては、教育問題にまで話が発展したことだ。

 以前に新聞で公表されていたが、長野県が公立高校3年生2000人に行ったアンケートで、「性別を理由に何かをやらなくてもよい、やらなければならない」という「こうあるべきだ感」が強く、長野県に住みたくない理由の一つになっている。こうしたことからも、小学校から高校までにおける教育が大事であると思う。

 少子高齢化による高校再編も大事かもしれないが、高校教育の特徴を出していくからこそ生き残れる高校になっていく。長い間高校評議員を務めているが、高校教育の肝が感じられなくなっているのも残念だ。

 それぞれの立場から考える教育に対する意見交換が非常に盛り上がった。

確定申告期

 あっという間に3月13日になってしまった。確定申告にかかりきりになって、職員は相当くたびれていると思う。少し滞り気味の職員の手伝いを、手の空いた職員が行っている。

 「お願いできますか?」という言葉に対して「もちろん、いいですよ」と答えて取り掛かってくれるのだ。同じやるなら、気持ちよく引き受けているのが素晴らしい。しかも「もちろん」という言葉が付くのだ。

 忙しい日々の中にもたくさんの学びがある。ちょっとした心遣いも、一人一人の気持ちを明るくしてくれる。

 このお雛様のようにね。お雛様はパートナーの税理士が飾ってくれた。お雛様の前に添えられているアラレは、竜ケ崎支部の関口先生が送ってくださったもの。

 添えられていた手紙には「庭の梅が満開です」とあった。

長野県経営者協会長野支部新春例会

 長野県経営者協会長野支部の新春例会が開催された。記念講演会として「長野県がリードする脱炭素・GX推進における新しい価値の創出」という演題で、東京海上日動火災保険株式会社の田原氏からお話をしてもらった。

 なぜ保険会社が?という疑問があったが、長野地域脱炭素実現推進協議会事務局企業であるとのこと。この項議会は2023年8月に設立され、参加記号は50社うちCO2排出量かしか実施企業は23社とのことである。

 講演内容の中で、非常に興味深い部分があった。「地方在住の高校生と全国の大学3年生・4年生を対象とした企業の脱酸素取り組みに関するアンケート」結果だ。

 就職する企業の探索や選択基準に、地球温暖化や気候変動問題に対する取り組みを重視する割合が30~40%にのぼっている。高校生のほうが意識が高い。これは学校教育に取り入れられてきているからだ。同じ給与待遇であれば気候変動問題に取り組んでいる企業に就職したいという学生も多い。

 そしてリアルな学生の声として

 ・ どのような背景で環境への取り組みをしているのか、経営理念とどうマッチしているのか、といったストーリーが見えると信頼度が上がりよい会社だと感じる。

 ・ 環境を気にする人は余裕があり利他的な人が多いイメージがあり、「人にやさしい会社」なのだと感じる。

 等々があった。

 久しぶりに実のある講演会であったと個人的な感想。長野県に若者が戻ってこない、人材不足という中で、各企業が取り組む環境課題にも関係している時代であるということを改めて認識した。