小日影山

 晩秋の季節に登る2000m以上の山は南アルプス方面か・・・。

 2~3日前に、南川金一氏とお話しする機会があった。
 読図でどんな山も登った南川氏は、複雑な地形では必ず目印の紐を木に結び付けるが、下山時には必ず回収するという登山をしている。最低300本は持参するそうだ。それでも紐が足りなくなってしまって,ティッシュを細く切って結び付け、更には軍手も細く切って結び付けた山は、南アルプスの小日影山であった。
 そのことが南川氏の著書『山頂渉猟』の「小日影山」に書かれているが、南川氏とそんな話になって、小日影山に登ってみたくなった。小日影山は遠い存在と思っていたが、話を聞いたとたんに身近に感じたから不思議だ。

 小日影山は、南アルプスの大日影山から西に延びた稜線上に座するが登山道はない。南川氏と同じルートを辿ることした。小渋川の小渋の湯後のあたりから尾根に取り付くのだ。

 朝4:30に家を飛び出し、大鹿村に向かう。湯折までは車が入る。ここからは小渋川沿いに赤石岳まで登山道がつけられている。ゲート前にはすでに1台駐車していた。おそらく赤石岳を中心に登っているのだろう。
 ゲートから約20分で小渋の湯後のトンネルに着いた。南川氏は、トンネルを抜けたところで尾根に取り付いているが、私はトンネル手前で尾根に取り付いた。いきなり急斜面。古いロープが張ってあるのにはビックリ。負荷をかけないように・・・、しかしお助け紐は助かった。
 完全に尾根に取り付いてしまうと、2128mの鞍部まで急登が続く。青空に紅葉が映え、心も軽いし、笹藪がないからとても登りやすく、体も軽い。木々の間から、うっすらと雪化粧した赤石岳が見えた時は嬉しかった。急登の疲れも癒される。
 約2.5時間で2128mの鞍部に到着。
 ここから東に登っていけば小日影山。西に行けば除山。これら二つのピークを踏むつもりで、まずは小日影山に向かった。
 ここからは山容は一変した。岩場もあり、藪もありで変化にとんだ尾根だ。突然藪から飛び出し見えた荒川岳、赤石岳、大沢岳の姿が素晴らしい。
 スタートから5.5時間で小日影山のピークに立てた。眺望はない。少し東の方へ行くと、北に小河内岳と塩見岳が見えた。
 もう1時である。これでは下山で一杯で除山のピークは無理だろう。
 ならばこの山頂でゆっくりビールタイム。
 あ~ビールタイムに時間を取りすぎたか?
 下山に3時間かかり、暗くなる直前に林道に飛び出したときはホッとした。空にはきれいな上弦の月が出ていた。

 

2019年11月2日 ルート図

 

小渋の湯後のトンネル

 

トンネルの手前にある滝。この滝の左斜面に取り付いた。

 

かなり厳しい急登が続いていく。

 

きれいな紅葉で和みます。

 

目指す小日影山が姿を現した。まだまだ遠い。

 

2128m鞍部からガンガン進んでいくと赤石岳が。

 

赤石岳の南には大沢岳。

 

大沢岳から奥茶臼山に延びる稜線。一番左は丸山。いつか登りたい登山道のない山。

 

奥茶臼山と前茶臼山も確認できる。

 

きれいに稜線が繋がっている。

 

赤石岳、その左にちょこっと見えるのは荒川岳だ。

 

小日影山が見えた。

 

岩稜が出てきた。非常に面白い山だ。

 

途中きれいに見えた荒川岳

 

そして赤石岳。ここまで来ると山頂はもうすぐか!

 

小日影山に到着した。5.5時間かかった。三角点を確認。

 

いつもの儀式

 

山頂の眺望はなし。三角点から少し東の方へ進んだら、藪の間から北に見えた小河内岳。

 

塩見岳

 

小河内岳から塩見岳

 

下山中に気が付いた木

 

小日影山を振り返る。山頂は左奥。

 

最後の眺望を楽しむ。荒川岳と赤石岳。

 

16:55に林道に飛び出した。かろうじてヘッデンなしで下山。朝の時とは違った趣の滝。この左から降りてきた。

 

月が出ている。