南川金一氏をひたすら追いかける「南川教」の私は、この3連休に1日も山へ行かないなんてことは考えられない。
雪が少なかったので、雪解けとの競争で今行っておかないと来年になってしまうだろう山。鹿島槍東尾根にある一ノ沢の頭をピストンした。
実はこの一ノ沢の頭は、7年ぐらい前に挑戦したが技量不足で撤退しているのだ。
リベンジ!
記録にある尾根への取り付き地点よりかなり手前から尾根に取り付いた。これは正解だった。ほんの10分弱で稜線に出る。あとはひたすら登っていくだけ。
ここはまだ真冬の世界だった。
樹氷が美しい。氷の花だ。それが人の気配を感じてサラサラと音を立てて落ちてくる。予報に反して太陽が顔を出さない。青空が見えない分、雪がしまっている。しっかりとステップも踏まれており、非常に歩きやすかった。
ずっとガスの中を歩き続ける。今日の先行者はいない。後ろからの登山者の気配もない。
針葉樹がブナに変わるころ、素晴らしい空間に飛び出した。そしてまもなくブナがダケカンバに。急登のナイフリッジを登りつめて、一ノ沢の頭に到着した。天場の跡が2ヶ所残っていた。
しばしのビールタイム。と突然姿を現した鹿島槍北峰と爺ヶ岳。すぐにガスに隠れてしまったが、その一瞬が感動だった。
下山中の雪は腐りだして歩きづらい。途中から青空が広がりだした。朝からこの様な天気だったら、快適な登りはできなかっただろう。
誰一人として出会わなかった1日は、至福の時間を過ごせたと感謝している。
突然現れた鹿島槍北峰。中央の岩峰が第一岩峰。その左に第二岩峰。