早乙女岳

 残雪期の山に突入。
 といっても今年は雪が少なかったから1ヶ月以上早い時季での山を選択しなければならない。

 昨年5月にチャレンジしてダメだった早乙女岳。
 早乙女岳は剱岳の南西に位置する山である。
 昨年はほとんど雪解けが終わっていて、引き返ざるを得なかった。だから今回は2ヶ月早く決行。3月中は片道1.5時間の林道歩きのアルバイトを強いられるのがつらいが、これを逃したらまた来年となってしまうだろう。

 結果、コット谷を詰める早乙女岳は、今回が賞味期限ぎりぎりだった。

 早月川支流の小又川出会いから入山するのだが、堰堤がいくつかあり、この堰堤を乗り越えるのが核心部。
 残雪で川が埋め尽くされていればなんてことはないが、今回も何回かの渡渉を強いられたが、前回引き返した堰堤ではラッキーなことに残雪を利用して通過することが出来た。

 コット谷出会いまでも、場所によっては渡渉が必要で、どんどん雪解けが始まっていた。鹿やウサギの足跡につられながらうまく渡渉を繰り返す。
 やがて残雪に埋め尽くされたコット谷を快適に登っていくが、ところどころの大きなデブリを乗り越えたり、山頂直下の雪庇には肝を冷やすなど、これらが2つ目の核心部だったような気がする。
 山頂に立てたときには、正面に剱岳が出迎えてくれ嬉しかった。

 天気は薄曇りで、うっすらと日差しがあった。無風。実に残雪期登山日和とはこういう日をいうのであろう。青空は望めなかったが、それが良かったのだ。ギンギラギンの太陽と青空であったならば、下山はどうなっていたか分からない。残雪期登山日和であっても、午後は雪が腐り下山が大変だったからだ。帰りの渡渉も苦労したに違いない。

 全てが恵まれた1日だった。
 もちろんこの山に入山した登山者は、他に誰もいなかった。多分今シーズンは、これが最後のチャンスだったと思う。

 

核心部の堰堤。全開はここで引き返したが、今回は残雪を利用して乗り越えることが出来た。
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小又川からコット谷に入った。
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コット谷から正面に見える稜線まで詰めるのだ。
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コット谷途中から振り返ると、正面に中山、その奥は大猫山
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デブリが発生していた。そっとデブリの後を乗り越え、雪庇の発達した稜線を目指す。
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すごい雪庇だ。恐ろしい。
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早乙女岳山頂からの剣岳
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大猫山、猫又山、釜谷山、毛勝山、ブナクラ乗越の奥にサンナビキ山。
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ピッケルが大活躍だった。
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川俣川は雪解けが激しかった。雪解け水はきれいだね。
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