1週間ほど前に、南アルプスの坊主山を目指したが、天気が悪くもう少しというところで引き返せざるを得なかった。
それでは今度は別ルートで・・・といことでの偵察。尾白川本谷から北坊主沢を遡行し坊主山を目指すコースだ。このコースも2泊3日となる。時間が取れない。今回は尾白川本谷の偵察ということでいけるところまで詰めてのピストンとすることにした。
「またやってくれたよ!」は、同行者の言葉。
何がって、なんと今度は10m落差の滝を滑り落ちたのだ。まったくもう~!
尾白川は滝の連続だ。しかもナメ滝で滝つぼは深いらしく濃緑色をしている。直登はかなり難しい・・・と思う。滝をトラバースするところも何か所もある。
通称ワイヤー滝の2段目の棚をトラバースしているときに「ここで滑ったら滝つぼに真っ逆さまだわ。」と思ったとたんに足を滑らしてしまった。
気持ちいいほどナメで滑っていく。そして10mの滝から落ち濃緑色した滝つぼにドボン。死ぬとは思わなかったが、どうしたら浮き上がれるかなあ~なんて思いながらのドボンであった。
滝つぼの中は水が回転しているから怖いのだが、結構冷静なのだ。全身水の中へ。どうしたらいい?・・・と背負っていたザックが浮力となり、上に引っ張り上げられる感じで顔が出るぐらいに浮き上がった。必死に泳ぐ。ここでさらに流されたら、次の滝が待っている。
うまい具合に右岸の岩に手が届いた。しかし足は底につかないので立ち上がれない。手は話しちゃダメ!と言い聞かせるのだが、あ、あ、あ、手が離れそう・・・!というところで、仲間が助けに来てくれた。差し出されたストックにつかまって岩に乗り上げる。
「まったく悪運が強いんだから!」
「ここを仮に100人の人がトラバースしたって、足を滑らせる人は他にいない!」
「本当にまたやってくれたよ」
とさんざん言われてしまった。
けがも何もなくてよかった。ずぶぬれは仕方ない。今思い返してみると、ザックの浮力ではあるんだろうが、目に見えない力で水上に引き上げられたっていう感じだった。
気を取り直して先に進む。噴水滝の先で本日の遡行は終了した。全身ずぶぬれでもビールはおいしかった。
すごく深そうな釜が・・・。この滝の棚をトラバースしているときに足を滑らせ、落差10メートルぐらいの滝から落ちで釜へドボン。
滝、滝の連続から、こうしてちょっと安らぐ開けたところもある。
獅子岩。この岩の対岸(右岸)からは黒戸北沢が流れ込んでいる。