残雪期の山も場所によっては旬が終わろうとしている。それでも2000メートルを超える山は、まだまだ楽しめるだろうと天気のいい場所を狙って突進だ。
今回目指したのは岐阜県の安房山。焼岳を登るときにベースとする中ノ湯から登ることにした。焼岳に登る登山者は多かったが、安房山を目指す人は他にいなかった。
尊敬する南川金一氏は、中ノ湯から安房峠まで車道を歩き、峠から安房山とアカンダナ山そして白谷山をピストンしている。しかも東京からの公共機関を使った夜行日帰りだ。
私もできるなら安房山だけでなくアカンダナ山まで足を延ばしたいと思っていた。
安房山に直に続く尾根に取り付く。振り返れば焼岳や岳沢からせりあがる穂高連峰が姿を見せてくれる。
高度を上げ霞沢岳や白谷山も確認しながら、あっという間に安房山ピークに到着した。穏やかな山頂。眺望も素晴らしい。
明神岳から前穂岳続くつり尾根から奥穂岳そしてジャンダルムをへて西穂岳とアルピニスト憧れの山並みが美しい。更には六百山と霞沢岳。十石山と硫黄岳。アカンダナ山は樹林にさえぎられて見えなかったが白谷山は堂々としていた。
安房山の山頂から安房峠へ下る。広い尾根なので、ちょっと間違えるととんでもないところへ行ってしまう。慎重に安房峠をめざし、峠の看板が見えたときにはホッとした。精根使い果たし、アカンダナ山へ向かうには時間も足りなかった。下るしかないか・・・。
改めて南川氏の偉大さに敬服。
しばらくは南川氏が歩いた車道を下ったが面白くない。ショートカットで焼岳登山口近くまで下ってしまった。
振返ったら、白谷山が輝いていた。
白谷山。南川氏は安房山からアカンダナ山を経由して白谷山まで1日で登ってしまった。