本院岳ダイレクト尾根は憧れのルートであった。積雪期に登る上級コースで、日本登山体系に掲載されている。ず~とルート研究だけで終わっていた。
ところがである。ダイレクト尾根の大きな岩壁までは今の季節に行くことができることが分かった。そしてその大岩壁に沿って西に行くと黒滝があるということも・・・。
このことを知ってからは、早くに仕上げちゃいたくてウズウズしていた。行くしかない!
2024年8月11日 ルート図
西岳の登山口からダイレクト尾根の取り付き地点を目指して歩いていく。途中にきれいに咲いていたギボウシに元気づけられる。
ギボウシ
不動沢を渡渉して一般登山道から離れる。ダイレクト尾根の取り付き地点に来た。左側にも沢があり、下山はこの沢を下ってくることになる。黒滝沢という。
斜面に取り付き急登で薮を漕いでいく。背丈以上の笹薮だ。カラマツの人工林の間を登っていく。
しばらくすると鼓平といわれるところで、室町時代に黒滝山舞楽寺という寺がここにあったらしい。修験者はその寺に宿泊し山中の窟を巡ったとのことだ。
寺の痕跡は見つけられなかった。
鼓平。 黒滝山舞楽寺跡だが痕跡なし。
ダイレクト尾根をガンガン登っていった。すると目の前に現れた大岩壁。ダイレクト尾根に取り付いてから約400mの標高差。結構簡単だった。
この岸壁を西のほうに進んでいくと黒滝がある。
大岩壁
大岩壁は東のほうにも伸びているので、まず岸壁の東方面に沿って行ってみた。たくさんの窟があった。
黒滝舞楽寺から修験者たちがここまで来ているんだろうな。すごくワクワクしてくる。
修験者たちは、ここで何を思ったのだろうか・・・。いや無心に修行。
ダイレクト尾根から到達した地点に戻り、ここから西に移動していく。
ここにも窟が。祠などはない。
並んで窟が出てくる。
ルンゼがあったので、時間もあることだからちょっと登ってみた。向こうに空が見えているから、登り上げれば先ほどの大岩壁の上に出るんだろう。冬季のコースはここを上がるのかも。
ルンゼ
大岩壁の基部を忠実に西に進んでいったら現れた黒滝。
黒滝の下に立ってジ~と見上げていたら、刻々と落ちてくる水の量が変化していった。
足元にはシラヒゲソウが。
黒滝をさらに西方面から見てみた。
黒滝を通り越して、さらに西方面に大岩壁の基部を行ってみた。するとスラブ上の岩が出てきて、これ以上進めなかったので引き返す。
引き返し地点からの眺望。
黒滝に戻った。ここからは黒滝沢を下降するようになる。水量が少ないので登山靴のまま下ることにした。
少し下ると大岩があり、その基部が窟になっていた。葉が落ちる季節ならば、振り返ると黒滝が見えるかもしれない。
大岩の窟
黒滝沢を下っていくとタマアジサイの群生があった。
タマアジサイ
黒滝沢をさらに下っていくと二俣に。左俣の黒滝沢から降りてきた。右俣は西岳沢といい、この二つの沢の合流地点までくれば、ダイレクト尾根の基部まではもうすぐだ。
左俣の黒滝沢を下ってきた。
二俣で沢靴に履き替えた。快適に下っていける。やがて不動沢との合流地点に来た。ここからは一般道を通ってスタート地点に戻る。
目的の大岩壁と黒滝に出合えて嬉しかった。西岳方面の窟探しも面白い。これからが楽しみ!