醍醐寺

 日経新聞で紹介されていた大阪中之島美術館で開催されている「醍醐寺国宝展」。ちょうど大阪に行く用があったので、その際に行ってみようと思っていた。しかし大阪での時間は余裕がなくすぐ京都に移動しなくてはならなかったので、ならば京都醍醐寺に直行しようと、醍醐寺に足を運んだ。

 醍醐寺は下醍醐と上醍醐に分かれる。多くは下醍醐だけの観光客が多いらしいが、私は醍醐山麓(笠取山)にある上醍醐にも行きたかった。しっかり歩いておいて、今度大阪に行ったときに中之島美術館に行こうと思った。

東西線の醍醐駅から歩いて10分ぐらい。醍醐寺の総門に到着した。人が少なくて快適。

緑に囲まれた参道を歩いていく。

 金堂。豊臣秀吉の命によって、紀州(和歌山県)の湯浅から移築された。 本尊の薬師如来と両脇侍は鎌倉時代の作で、いずれも重要文化財に指定されている。

金堂

鐘楼

国宝の五重塔。醍醐天皇のご冥福を祈るために朱雀天皇が起工、村上天皇の天暦5年(951)に完成したとのこと。

京都府下最古の木造建造物だそう。 内部の壁画は日本密教絵画の源流をなすものといわれているらしいが、もちろん中は見ることができなかった。残念でした。

不動堂。手前に不動大明神の素晴らしい姿。

堂内には不動明王を中心に五体の明王を奉安。

 真如三昧耶堂。朱雀天皇の御願により法華三昧堂として天暦3年(949)に創建されたが、文明2年(1470)に焼失。現在の堂は平成9年(1997)に真如三昧耶堂として建立された。堂の中には横たわったお釈迦様(?)がいた。

真如三昧耶堂

 祖師堂。慶長10年(1605)9月座主義演准后(ぎえんじゅごう)により建立されたもので、真言宗を開いた弘法大師・空海と、その孫弟子で、醍醐寺を開創した理源大師・聖宝とが祀られている。

祖師堂

祖師堂

 観音堂。本尊・阿弥陀如来坐像が祀られている。現在は、落雷で焼失した上醍醐の准胝堂の西国札所が仮に移されている。

観音堂

 弁天堂。音楽などの学芸や知識の女神であるとして広く知られている弁才天(七福神の一つ)が祀られている。

弁天堂

この道を伝って上醍醐へ。

 女人堂。昔は女性が此処から山上の諸仏を拝んだことから、通称「女人堂」といわれている。説明板に書かれていたが、険しい上醍醐まで登らなくてもお参りできるように建立された。

女人堂

女人堂の横には仏像が。

豊臣秀吉公花見跡。

不動の滝。滝というには水が細すぎ。水の落ちる横に不動明王が安置されている。

山道をどんどん登っていくと音羽大王大権現。

大きな赤い鳥居が目立つ音羽大王大権現 。

やがてわらどうの峠に出た。この峠から下るようになる。

峠を過ぎてすぐに役行者像。修行したんだね。

寺務所客殿。この左手に参道がある。

寺務所。

醍醐山の略史

醍醐山全景鳥瞰図。これを見ると分かりやすい。

 寺務所を過ぎて山道を登っていくと経蔵跡が出てくる。最初何の広場か?と思ったが、後で調べたら経蔵跡であることが分かった。

 経蔵跡が過ぎて、また山道になる。すると左手奥に地蔵尊があった。

地蔵尊

多少のアップダウンで登り詰めたら鐘楼。

 五大堂が出てきた。五大堂は延喜13年(913)に醍醐天皇の御願堂として創建された。

 不動明王、降三世夜叉明王、軍荼利夜叉明王、大威徳明王、金剛夜叉明王の五大力さん。五大堂前には、醍醐寺を開山した「聖徳理源大師像」(中央)が鎮座している。

五大堂

内部には五大堂壁画(仁王経曼荼羅)が描かれている。

 如意輪堂。醍醐寺開山の理源大師聖宝が上醍醐を開いた際、准胝堂と共に最初に建てた建物。本尊如意輪観音と共に脇の間に毘沙門天、吉祥天が祀られているらしいが、だいぶ崩れていて立ち入り禁止区域だった。

如意輪堂

白山大権現。縁結なんだ。

 開山堂。醍醐寺の開山、聖宝・理源大師を奉安したお堂。

 現在のお堂は、慶長11年(1606)に豊臣秀頼によって再建されたもので、雄大な桃山時代の特徴をよく表した山上最大のお堂とのこと。
 お堂の内陣には、中央に醍醐寺開山聖宝理源大師像、左に真言宗宗祖弘法大師像、右に醍醐寺第一世座主・観賢僧正像が奉安されているらしいが、わずかな隙間からしか覗けなかった。

開山堂

開山堂の敷地内が醍醐山頂(笠取山)。標高450m。ここまで1時間ぐらいかかった。

山頂から少し下ったところに上醍醐陵。白河皇后陵で宮内庁が管理している。

説明版(?)がありました。

 下醍醐に戻る途中で薬師堂に寄った。

 薬師堂の本尊は薬師三尊像(国宝)。内部には、閻魔天像、帝釈天像、千手観音像を安置していたが、現在は下醍醐の霊宝館に移された。

薬師堂

 准胝堂跡地の五輪塔。

 西国11番札所の「准胝堂(観音堂)」は、平成20年(2008年)落雷による火災で焼失。札所本尊の「准胝観世音菩薩坐像」は、下醍醐の観音堂に安置している。

五輪塔

准胝堂跡地にある永代實塔供養碑

准胝堂跡地にある子育地蔵尊。准胝観音は、子授けや安産などの信仰を集めている。

横尾大明神

 清瀧宮本殿。国の重要文化財に指定されている。清龍宮は、弘法大師が唐・長安の青龍寺から勧請した、密教の守護神を祀った醍醐寺の鎮守社である。

清瀧宮本殿

清瀧宮拝殿。国宝で室町時代の建物。寝殿造りの手法を生かした気品のある風格。

 2時間ぐらいかけて上醍醐を往復してきた。汗だくになり、しかし気持ちのいい風もあって楽しく時代の遡りができた。これで大阪の中之島美術館に行けるかな。

 総門近くに戻って三宝院の庭園を眺めた。息をひそめるような祈りのある上醍醐と雰囲気が全く違う。開放的なきれいな庭園だ。

 最後に霊宝館エリアの仏像棟へ行った。