鳥居峠から四阿山に登るルート上に的岩がある。その手前には的岩山があり、両方とも長野・群馬県境上に位置している。県境つなぎの再開で、今回は鳥居峠から的岩までたどることにした。
四阿山に登る登山者用の駐車場が林道奥にあり、そこに駐車してから鳥居峠まで戻り県境を歩き始めた。
2024年5月11日 ルート図
最初から笹薮で、背丈以上に伸びている。林道ができる前は、県境のすぐそばにルートができていた。もはやその気配はなく、完全に廃道、というより道らしきものが見当たらない。
このような激薮を漕いでいくのだ。
勾配が緩いので、足を高く持ち上げないと笹を乗り越えられずくたびれる。天気はいいし、時間はたっぷりあるから気持ちは楽だが体力的にきつい。何ヶ所か笹枯れしているところがありホッとする。
ただ黙々と笹を漕いでいったらちょっとした空間があり祠があった。祠には当時の住所と名前が刻まれておるようだが、一部しか判読できなかった。
見つけた一つ目の祠
二つ目の祠。
三つ目の祠。「大〇神」「小縣群 〇村」「〇衛」と読める。
四つ目の祠。「小縣 長田村」と読めた。
最後の祠。「~神」とあった。
こうした祠に出合い、これらの祠を設置した人の信仰心や祠を守り続けている人たちの思いが伝わってくる。同時に戸隠33窟に自分の思いが行く。
スタートしてから約4時間かかって的岩山に到着。三角点が設置されているところは気持ちのいい空間。鹿の角が落ちていたので一緒に記念撮影。
三等三角点、点名・的岩山。
的岩山のピークは三角点設置場所より先。的岩山の山頂には何の印もなかった。GPSで山頂を確認。誰もいない山奥でビールタイムとした。
的岩山の山頂でいつもの儀式。
たくさんの鶯の鳴き声が心地よい。鳴き方も上手になっている。
的岩山の空。
的岩山山頂から的岩山を目指す。ここからも笹薮。県境をなるべく歩いていく。
しばらく進んでいくと点在している岩が見えだした。いよいよ的岩群に入ったのだ。
せっかくだからルートから外れて岩に近づいてみた。この岩なら登れるわ。
岩のピークに立ったら素晴らしい眺望。思わず歓声!
眼下に広がるオオカメノキ。今日初めて出会った春の花。
県境に戻って的岩群の屏風岩を目指す。やがて屏風岩の基部に到着した。
上を見ながら基部に沿って歩いていく。上を見上げると兜岩のような頭が見える。もうワクワクだ。
的岩と名が付いた部分。「源為朝か源頼朝がこの岩を的にして弓を射したとの伝承による。」と説明書きがあった。弓を射したので岩が突き抜けていて、そこから向こう側に出てみた。
別名、射抜き穴かな。
今回の目的の一つにこの的岩を登ること。下から見上げたあのピークに立てるか?念のためにクライミングシューズまで持ってきたのだけれど・・・。
どこか取り付けるところはないかと探した。先ほどの射抜き穴から西側に入り込み、屏風岩を伝っていくと登れそうなところがあった。テンション上がる。
岩と木を伝いながら岩の上部に出ることができた。ちょうど鞍部になっている。そこから目指す岩のピークに、一気に登り上げる。
フィリクションがきいて気持ちよく高度を上げられる。
あっという間に目指す的岩のピークに立つことができた。1週間前にクライミングの練習に行った成果?
的岩ピークからは四阿山がよく見えた。
浅間山も。
鞍部から北のピークにも立って。
鞍部から南のピーク。妙義の筆頭岩に似ている。あのピークに立てたことがとても嬉しかった。ここは的岩ワールド。結構楽しめる区域だ。
ここからは一般道で登山者用の駐車場に戻った。20分ぐらいで終了。
実は今日のコースは、山を始めたころに歩いている。当時は林道もその奥にも登山者用の駐車場はなく、鳥居峠に駐車して、県境そばに付けられた登山道が一般道であった。
その時には、的岩山のピークも踏んでいるのだが、四阿山を目指していたので意識することもなかったんだと思うし、全く覚えていない。ただ的岩は笹薮と的岩の基部の間を歩いたことだけは覚えている。
同じルートでも、何を目的にするかによって残るものは違うということを改めて認識した。
楽しい1日だった。