マルタ島・アール・ダラム~タルシーン

 マルタ島を移動するのに路線バスは非常に便利だ。マルタ時間6日目。今日も路線バスを利用して、ヴァレッタから南方向へちょっとした旅。洞窟と神殿に遭いに行く。

 バスの発車ホームはA7でルート82番。いつもながら時刻表の乗り場も違うしスタート時間も違う。日本のバスの常識を破ることが得意でないと、マルタでのバスは利用しずらいかもしれない。

 最初のころは、目的の停留所に停まるかを確認して乗車したが、言葉が通じない時もあって面倒くさくなり、乗るバスのルート番号だけを確認して乗車するようになった。手持ちの時刻表の停留所とバスの電光表示板とを見比べながら、下車するバス停を確認するようにした。これだけでも疲れるけれど、また楽しさもある。

 アール・ダラムへ行くために乗ったルート82番のバス。しかし電光表示板の表示がなく、音声は小さく聞き取れない。他の乗客が世話を焼いてくれて目的のDalamで下車することができた。しかも目的とするアール・ダラム洞窟の方向まで教えてくれた。

 アール・ダラム洞窟は、マルタ島東部の町ビルゼブジャ近郊に位置する。「暗闇の洞窟」という意味があり、約7400年前の同島最古とされる人の居住した痕跡が保存されている。

アール・ダラム洞窟のエントランス。

 マルタの人たちってすごく親切だ。マルタに入国したときから感じている。そして必ず話すべき相手の顔を見て話してくれる。ここのチケット売り場では、「こんにちは」と声をかけてくれた。

チケット売り場を過ぎて手入れのされた庭園を進んでいく。

突然目の前が開け、石垣がたくさん点在していた。ここも7400前からの居住跡であった。

正面は監視塔。1700年ごろに建てられたもので、このあたりの集落の人たちの畑を荒らしに来る周囲の泥棒たちから農作物や身を守るために造られた。その左奥は城塞(トーチカ)。第2次世界大戦のために造られた。

アール・ダラム洞窟の入り口から全景。この洞窟は、第2次大戦中にトーチカとして使われ、ドイツ、イタリア軍からの爆撃を防ぐ砦となった。

 この洞窟は1865年に発見され、奥行き140mにもおよぶ鍾乳洞で、石器の類ともども、狩猟した動物​、象やカバ、熊、鹿、オオカミなどの動物の化石化した骨が幾層にもわたって発掘されている。

石筍(Stalagmites)と言われるもので、洞窟 の床から隆起する一種の岩石層。

洞窟の天井から垂れ下がっている鍾乳石。

骨の残骸が固まっている。

 ゆっくりとアール・ダラム洞窟で時間を過ごした。いい空気に触れながら、太古のロマンを感じる。かつてここで生を営んでいたという事実と不思議さに深い思いをはせる。

 次に、バス82番ルートでタルシーン神殿へ向かう。このバスがまた困った。バス停の案内が一切ないのだ。乗車したはいいけれど、下車予定のAntninのバス停がわからない。ひらめいた!スマホで位置確認をしながら、目的地の近いバス停で下車した。ドキドキするもやったね、とテンション上がる。

 バス停からスマホで確認しながらタルシーン神殿へ。

神殿の手前に鐘楼があって、この塀の向こうは墓地になっていた。

 チケット売り場では、やはり優しいマルタの人の気持ちに触れた。スマホでのスマホガイドのやり方を教えてくれた。アプリも受付の人が落としてくれた。私が根性負けしかけたら、任せて!とすべてやってくれたのだ。日本では少ないケースだと思う。

感謝しながら神殿に向かう。花が咲いていた。春から秋にはもっとたくさんの花が咲くんだろう。

 タルシーン神殿は、1913年に農夫によってぐう残発見された神殿。それまで地中に埋もれていたらしい。タルシーン神殿は、巨石を組み合わせた半円形の神殿が4つ集まっている遺跡で、紀元前3000~2500年のあいだに建設されたといわれている。

 神殿を作ったのは、多分、当時陸続きだったシシリア島から渡ってきた人たちだったろうと思われる。何の目的か、またどのような神々に捧げられたものなのかについては、文献がないので分かっていない。

神殿保護のためにシートで覆っている。

第3神殿から奥に進み、中央にあるのが第2神殿。ほかの神殿とは異なり、左右対称の半円が3つに重なり合う構造をしている。

石を少しずつずらしていって屋根の形にした、その一部。

3つの巨石からなる祭壇。

祭壇。生けにをささげていた場所とされている。渦巻き模様の装飾は時間と永遠の象徴であるとされている。

豊穣の女神(右)。当初は高さ3mはあったと考えられている。

ヴァレッタへ戻るバス停まで行く途中で偶然見つけた教会。聖パオラ教区教会。

教区教会だけに大きな礼拝堂。静かに何人の人が祈っていた。観光化されていないのがよかった。

礼拝堂の丸天井もきれいだ。

ヴァレッタは中心地だけ人が多い。オープンテラスで遅い昼食をとった。こうして個人個人が自由に時間を楽しんでいる姿でワクワク感が増すのだ。非日常的な時間に、今日も満足でした。

 マルタの食事はおいしい。シーフードを中心に食べているが、店ごとに特徴があり、日本人の口によく合うと思う。

今回は、スズキの蒸し焼きとイカのフリーッター。温野菜とパンはサービス。赤ワインもおいしかった。

青空の下の聖ヨハネ大聖堂。明日改めて訪問する予定。

2023年12月29日