マルタ時間を過ごして5日目はラバトへ行くことになっていた。行き方はイムディーナと同じバスに乗って、同じところで下車すればいい。今日はクリスマス休暇時間はないので、バスが来ない・・・ということはない、と思うけれど。同じルートをただるのは気が楽だ。
ゆっくりとホテルを出た。
ラバトの目的は洞窟と地下墓地。そしてパスティッツィを食べること。
ラバトはバス道路を挟んで南の地域で、北の地域はイムディーナになる。つまりバスの右側がイムディーナ。
バスを降りて、南に延びる聖パウロ通りを南下していく。イムディーナとは違った雰囲気だ。
5分ぐらいで聖パウロ教会に到着した。バロック様式の教会で、地下に洞窟がある。
教会前は広場になっている。
中に入ると、何人かの人静かに祈っていた。1990年に元ローマ法王ヨハネ・パウロ2世、2010年に前ローマ法王ベネディクト16世が祈りをささげている。祈りをささげた場所がわかるようになっていた。
すぐその場所の後ろで、しばし祈りの時間を・・。
礼拝堂を出て、地下の洞窟に向かう。
階段を下りていく。
聖パウル像が祭壇に載っていた。
この洞窟は、エルサレムで捕らえられた聖パウロがローマへと送られる途中、船が難破してマルタにたどり着いた時に身を隠したとされている。その際に布教活動をして、マルタにカトリック信教が伝わった地でもあるとのこと。
祭壇の横には聖パウロの祈りが掲げられていた。
聖パウロが3か月間過ごした洞窟。
洞窟の上にある礼拝堂。マティア・ブレッティの「子供を抱えた聖母マリア」の作品が掲げられている。
小祭壇
洞窟の中にはカタコンベ(地下墓地)もあり、これは「アガぺ・テーブル」で死者との別れのための食卓。
このような形で利用をしていた。
洞窟は複雑に入り込んでいて、ここに死者を葬っていた。
聖カタルド教会は、聖パウロ教会の前にあった。
礼拝堂は狭い。教会関係の人がいろんな説明をしていた。ここにも地下墓地がある。
棺が置かれていた。
死者を弔った墓地。石で彫られていて、ここに一体ずつ安置したのだろう。
ここにもアガぺ・テーブルがあった。
次に向かうのは聖パウロの地下墓地。2000㎡の広さに4~9世紀にかけて埋葬された地下墓地。地上の庭には花が咲いていた。
アガぺ・テーブルが入り口近くにあった。死者を埋葬する際にお別れの食事をここでしたのだ。
個々の地下墓地は複雑に入り組んでいる。
ラバトに地下墓地が多いのは、隣のイムディーナの街の住人が死者を自分たちの町の中に葬ることを嫌って、ラバトに墓地を設けたことによるそうだ。
私はなぜか洞窟が好きだ。かつてここは難を逃れ生活をした場所であったと思うと、そこに人間の生を感じるからだ。到底自分には持つことのできない時間の息吹を感じるからだ。
地下墓地にも聖なるものを感じた。静かな時間が流れていたという事実。人生を全うし、いつかは甦ると信じて埋葬された聖なる場所だからかもしれない。
マルタの守護聖人である聖アガサ。聖パウロ通りが聖アガサ通りと名称が変わったところに、聖アガサの洞窟と地下墓地がある。
洞窟は、聖アガサが迫害を恐れ、身を隠していたとされる。そして地下墓地は、洞窟の先にあり紀元前2~3世紀に遡るもの。
洞窟も地下墓地も残念なことにここは入ることができなかった。洞窟の上に建てられている礼拝堂は、扉の窓からのぞいただけ。
礼拝堂前には、聖アガサ像があった。
ラバトの洞窟と地下墓地の探検は終わり。
第2の目的のパスティッツィを食べる時間になった。パスティッツィはパイ生地でリコッタチーズを包んで焼き上げたマルタ定番の軽食。
ラバトの人気店であるクリスタル・パレスという店。焼きたてがおいしく、いつも行列ができている店だ。
店の大オーブンで焼きたてを出している。現金払いのみ。
熱々を袋に入れてもらって、バス通りの北側に面したハワード・ガーデンズのベンチで楽しんだ。
外はパリパリ、中はモチモチの薄皮に包まれたチーズとチキンが、これまた熱々でおいしかった。
パスティッツィタイムが終わっても、夕暮れまでには時間がある。ならばイムディーナへ再び足を踏み入れよう。もう一度来たかった場所だしね。
最初に来たのは25日。その時には大聖堂に入れなかったけれど、今日は大丈夫。マルタ初の司祭となった聖パブリウスの邸宅があった場所に建てられている。
現在の教会は、1702年にマルタ人の建築家ロレンツォ・ガッファによって再建されたもの。
礼拝堂。ラテン十字形になっている。
この後イムディーナの細い道をぐるぐる歩いて、ギリシア門から公園したのトンネルを抜けてバス停に。ちょうどタイミングよく51番バスが来ていたので乗車。約40分ほどでターミナル終点に到着した。
16:00頃でまだ明るい。イルミネーションに光が灯り始めた。人が多くて、今行ってきた世界とはちょっと違う空間。
今夜は、途中でテイクアウトしてきたケーキでフィニッシュ。金額は2つで8€だったから、日本と変わらない。見た目にはとてもおいしそう。実際の感想は、想像してね。
2023年12月28日