天気が悪い。どこも悪い。
やっと探し出して、2日間天気が持つのは中央アルプスだった。急遽15日の夜に16日~17日の2日間で細尾沢を遡行し、未踏峰の麦草岳経由で下山することを決めた。
茶臼山から木曽駒ヶ岳、麦草岳への稜線を源頭とする正沢川流域の一つである細尾沢は、木曽駒ヶ岳へ突き上げている。
木曽駒高原スキー場の終点まで車の進入可能。すでに10台ぐらい駐車していた。
ここからは茶臼山コースの登山道と植松Bコースの登山道が伸びており、そのほか正沢川の遡行の入渓地点でもある。
スタート時点では、遡行者はいなかった。
茶臼山コースの登山道を10分ほど行くと、朽ちた吊り橋の川に出会う。ここが入渓地点。沢靴の履き替え入渓する。さあ~いよいよだ。
1日かけて木曽駒ヶ岳へ抜け木曽小屋に入り込めばいいから時間はたっぷり。気持ちも余裕でのスタートだった。
順調に遡行が進む。
正沢川の水晶沢と悪沢を右手に見送り、玉の窪沢との出合に着いた。ここで後続者の4人パーティに追いつかれた。どこかの山岳クラブらしい。休憩中だったので先に行ってもらった。
ちょっと早いけれど、ここでビールタイムをしていたのだ。
やがて正沢川本谷と細尾沢の出合。
ここで先行パーティに追いつく。彼らも細尾沢とのこと。ただし途中でテントを張る予定だそうだ。
そんな会話を交わして今度はお先に!と抜きつ抜かれつつの楽しい走行が続く。
細尾沢に入ってから6mの滝が2つ。
難なく登りあげるといよいよこの沢の一番の核心部(?)の細尾大滝が現れた。
日本登山体系のトポ図は、細尾大滝の右岸を大きく巻くようになっている。最近の記録は細尾大滝の右のルンゼを中間まで登りあげ巻くようになっている。もちろん最近のルートの方が踏み跡もしっかりしているでしょ。
4人パーティと同時に細尾大滝に到着したので、ほぼ同時に大滝の右ルンゼに取り付いた。
足元がグズグズなので先に行ってもらう。落石が怖い。ルンゼを途中まで登りあげ滝川へトラバース。ここで先行パーティーはロープを出しているので時間がかかった。さらにロープを延ばし尾根に乗り上げている。待ち時間は30分ぐらい。ちょっと気持ちが焦ってしまった。
ノーロープで尾根に乗り上げてからの大滝への落ち口への踏み跡が見つからない。
途中先行パーティーを抜いてここらへん(?)という所を沢めがけて下ると大正解!ちょうど細尾大滝の落ち口に出ることが出来た。
こういったのが面白いのだ。
ここからは誰にも会うことなく遡行を楽しんだ。
40mのナメ滝、4m、8mの滝などがいくつも続き、息つく暇もない。一つ一つ滝を登ることが出来るのでこれまた楽しいのだ。4条10mの滝は1条がしょぼかった。
これでもかと滝が続く。
二俣に出ると基本右へ。右へ右へが基本だったが、水量に騙されていつしか木曽駒ヶ岳山頂直下のルートを取っていたらしい。
ハエマツの藪漕ぎをしてカールに出た。お花畑である。青空が広がり、将棋頭山や駒ヶ岳が見えている。振り返れば茶臼山が雲海の中。
木曽駒ヶ岳の山頂に飛び出した時にはホッとした。
山頂には登山客でにぎわっていた。今までとは異次元の世界?とはいっても時間は既に午後6時30分近く。早く小屋に入らなければ、と気がせいて、一気に木曽小屋を目指す。
裏口から小屋のオヤジさんが顔を出してくれた。
「やあ~ヘルメットが見えたから。泊まっていくかい?」時間が遅くなったことも予約していないことも触れずに暖かく迎えてくれた。
小屋での時間は、1日の沢遡行の楽しさを思い起こさせてくれた。暖かい心の山小屋だったからである。
水流が激しいところでうまい具合に倒木が。この木を伝って渡渉。
40m細尾大滝。迫力ある。滝前を通るときの風圧と水しぶきがすごかった。
奥に来ても水量は多い。水量に寄ってのレベルが違ってくる。2級上ぐらいはあるか?