2000m以上山の縦走は気持ちがいい。天気さえよければね。
白骨温泉から入山して十石山へ。ここまでは一般道。十石山避難小屋で夜を明かし、2日目は長野県と岐阜県の県境を歩き乗鞍まで行く計画をした。乗鞍からはバスかタクシーで白骨温泉駐車場所まで戻るというコースだ。
1日目
朝7:30にスタートした。天気は予報に反して曇り。朝までの雨で笹藪が濡れていて衣類がたちまち湿ってくる。一般道とはいえ道の状態がぬかっていて非常に悪かった。ガスっているので眺望がないまま登って行く。小屋までは約5キロ。避難小屋直下で15人のパーティーに出会った。さすが人気の山。「ガスで何も見えなかった」とぼやきながら下山していった。
そうねえ。この天気なら、楽しめるのは花々かな。たくさんの花が咲いていたが、びっくりしたのは早春に咲くショウジョウバカマと夏に咲くチングルマがもう髭爺さんになっていたことだ。季節が一緒にやってきていた。
1日目の避難小屋はとても快適な空間だ。個室をゲットすることができた。しばらくすると途中追い越した2人ずれのパーティがやってきた。今夜は2パーティだけだろう。彼らは明日ここから下山するとのこと。私は明日のコースがメインで、今からワクワクだ。
15:00過ぎにガスが晴れて素晴らしい青空が広がってきた。小屋の東側の高台が展望台になっている。暑いぐらいの日差しのもと沸かしたコーヒーを飲みながら周りの山々にこんにちは。
北には前穂高岳から釣り尾根、奥穂高岳からジャンダルム、槍ヶ岳、笠ヶ岳、手前には焼岳。噴煙までよく見えた。前穂高岳の手前には明神岳と六百山と霞沢岳。すべて登っているが、登った山々を確認できるのが本当に嬉しい。
南には、明日行く予定の乗鞍がよく見えた。四ツ岳が大きい。剣ヶ峰がとがっている。明日通過する硫黄岳は金山岩に隠れて見えない・・・と思う。
南西には白山がよく見えた。東には鉢盛山から小鉢盛山まできれいな稜線が。ハト峰も確認できた。やがて夕暮れ。雲海の中に沈んでいく太陽は荘厳だった。
2日目
日の出は4:48。小屋を飛びだし展望台に上がる。風も穏やか。やがて空が赤く染まりだした。青空と茜色の雲のコントラストが素晴らしい。前穂高岳が少し焼けだし陽が昇ってきた。これから向かう乗鞍方面もくっきりと山が見える。いい1日がスタートした。
十石山の山頂は木に囲まれて眺望なし。プレートが取り付けられていた。さあ~ここからだ。ここから先は地図に登山道はなく、しかしかすかな踏み跡をたどって先に進んで行くことができる。2532mの金山岩まで順調に進んで行くことができた。振り返ると十石山と避難小屋が見える。その奥には穂高連峰と槍ヶ岳の穂先がくっきりと伸びていた。槍の穂先はどこからでも存在感があるわ。
金山岩からのルートを地図で確認して先に進もうとしたら、ハイマツで先に進めない。北側の沢筋を巻くことにした。不安になりながらも100mぐらい下るとなんと平湯温泉からのルートに出たのだ。これはビックリとともに安心した。祠があり、乗鞍権現が祭ってあった。
ここからは一般道。藪も刈り払ってあって歩きやすい。四ツ岳が大きい。やがて今日のメインである硫黄岳が見えてきた。硫黄岳は登山道から外れているから、途中から硫黄岳のピークを目指す斜面に取り付くこと。急登りで硫黄岳の基部に着いた。ここから適当にピークを目指して登り上げるのだが、ハイマツが密である。しかしここで諦めない。久しぶりのハイマツとの格闘だ。GPSで確認した硫黄岳の山頂に到着した。ハイマツの山頂で、この季節は誰も来ないだろう。南川金一氏は1988年10月に登頂しているから、やはりこのハイマツを漕いだのだろう。ちょっと嬉しくなる。いつもの儀式。
硫黄岳から一般道に戻ったら、そこはコマクサの群生地。もうここから先は気が楽だ。大黒岳を目指して、気楽に歩いていく。途中、烏帽子岳が素晴らしい姿を見せてくれた。ここから見る烏帽子岳は登れない。東側から取り付くんだろうな。もちろん南川金一氏は登頂している。今は残雪期しか入山できないから、ハードルが高いわ。
大黒岳はさすが登山者であふれていた。ツアーで登ってきたパーティーも。私にとってこの山は2度目。最初は2002年に登頂している。正面に恵比寿岳も大きい。
大黒岳から畳平に降り、ここからバスの乗り継いで白骨温泉まで戻った。充実した2日間だった。
2022年7月23日~24日 ルート図
フシグロセンノウ
ゴゼンタチバナ
ギンリョウソウ
登山道は笹藪の中につけられている。ガスっていて・・・。
アオノツガザクラ
やがて出てきた雪渓をトラバース。
今年初のサンカヨウ
ナナカマド
ヒロハササユキ
ショウジョウバカマ
イワカガミ
チングルマ
十石山の避難小屋が現れた。
チングルマ
イワツメクサ
イワギキョウ
ガスが上がってきて、十石山の山頂が見えてきた。その奥にはうっすらと乗鞍。
十石山避難小屋
アキノキリンソウ
雲の上に浮かぶ穂高連峰。左端が西穂高岳、正面は奥穂高岳。
コケモモ
雲海と夕日。
しっかりと山が確認できる。槍ヶ岳は雲の中。
素晴らしい眺望。テンションが上がるわ。
明日向かう乗鞍岳。
すっかり晴れて嬉しいわ。
間もなく夕暮れ。
陽が沈んでいく。
素晴らしい自然を楽しんで初日は終了した。
2日目。早朝4:50ごろ朝焼けが始まった。月が出ている。
焼岳からは噴煙も見える。
雲が焼けてキレイ。
これから向かう山々。右から四ツ岳、大丹生岳、恵比寿岳、大黒岳、摩利支天岳、朝日岳、蚕玉岳、剣ヶ峰。
中央から陽が昇ってきた。
ウサギギク
リンネソウ
十石山山頂は笹藪の中。
先に進むとシャクナゲが咲いていた。
このような岩稜も通っていく。変化があって楽しい。左奥に乗鞍。
ミヤマダイコンソウ
振り返ると素晴らしい眺望。槍がよく分かる。何度見ても飽きない。
笠ヶ岳から抜戸岳の稜線。
コロナ観測所が見える。
四ツ岳が大きくなってきた。登りたくなる。
金山岩に到着。ここまで変化があって楽しい道だった。
金山岩から十石山を振り返る。小屋が見えるわ。
ミエウスユキソウ
ハナヒョウタンボク
ミゾホオズキ
今年初のキヌガサソウ。
金山岩から約100メートル下って、平湯温泉からの一般道に飛び出した。乗鞍権現が祭ってあった。
やっと見えてきた硫黄岳。その右には四ツ岳。
オトギリソウ
振り返ると金山岩。
硫黄岳の斜面に取り付くと正面に四ツ岳。
硫黄岳山頂を目指してハイマツを漕いでいく。
硫黄岳山頂でいつもの儀式。
姫ヶ原から硫黄岳を振り返る。
姫ヶ原のコマクサ群生地。
コケモモ
ヨツバシオガマ
コバイケイソウ
チングルマ
アオノツガザクラ
岐阜県側の車道に出た。大黒岳を目指して歩いていくと烏帽子岳の素晴らしい姿が見えた。登ってみたいわ。
車道を歩いて大黒岳を目指す。
アスファルトの間からウメバチソウが咲いていた。ウメバチソウは秋の花・・・なのに。
大黒岳から恵比寿岳。左下には畳平の駐車場。あそこがゴールだ。