2021年10月に、私の登山の集大成の一つでもある劔岳北方稜線繋ぎが終了した。何年かに分けて少しずつ稜線をつなげていった。最後に残った平杭乗越~滝倉山は、北方稜線の中でも非常に厳しい区間である。残雪期ならばアイゼン、ピッケルで多少の技術があれば通過できるだろうが、無雪期にはルーファイと藪漕ぎが続く。水の問題もある。
2018年に偶然出会った石川に居住する山のベテラン2人組。この二人がいなかったら、いまだに北方稜線はつながっていなかったと思う。石川の二人は、MさんとKさん。同世代だが、二人は私と比較にならないぐらい藪山に対してベテランである。この二人も、無雪期に劔岳北方稜線をつなげるために何年も東又に通ったそうだ。そして時間をかけルート工作をした。
東又から赤倉尾根を経由して滝倉山に登ったのは2018年。二人に出会った2か月後のことだ。2019年は天気が悪く、1度も東又に入ることができなかった。
2020年は、滝倉山からサンナビキ山のピークに立つことができた。この時にも、MさんとKさんに助けられた。二人が設置したBCとB2を利用させてもらったのだ。そしてB2では、楽しい夜のひと時を一緒に過ごさせてもらった。この時、二人は最後に少しだけ残された北方稜線を滝倉山から繋いでいる。
2021年10月、残された劔岳北方稜線に挑戦する時が来た。MさんとKさんはB2に5.5リットルの水をデポしておいてくれた。片貝駐車場所からB2までは7~8時間かかる。それにも拘らずわざわざB2まで水を持ち上げておいてくれたのだ。私にとっての最後の北方稜線歩きは、B2にデポされた水がなかったら帰ってこれなかったかもしれない。赤倉尾根のルート工作もされていなかったら、達成ができなかったと思う。
晩秋の一日。石川のMさんとKさんと海谷山塊の一角で再開した。火を囲みながら、劔岳北方稜線繋ぎの達成報告会をした。BCもB2も劔岳北方稜線繋ぎが終了したので撤収するとのこと。
海谷山塊の鉢山。残雪期に登っている。
千丈ヶ岳。ここも残雪期に登った。
火を囲んで楽しい時間を過ごす。
翌朝、二人はBCの撤収のために東又に向かっていった。
Mさん、Kさん、ありがとう。そして何年もかけて一緒に劔岳北方稜線を踏破してくれた仲間に感謝します。