裾花川本谷遡行と遭難者

 梅雨が明けて、思いっきり山を楽しむ季節に突入した。

 暑いから沢登りもいいだろうと思って、絶対人の行かない裾花川本谷を遡行してみることにした。戸隠牧場から一不動まで登り上げ、そこから薮の中を急降下して裾花川本谷に降り立つのだ。実はこのコースは、昨年6月に歩いているので様子が分かっているから気が楽。そして今回は、裾花川本谷のドンつまりまで行ってみる予定。遠い昔、修験者が歩いた「大澤通り」を少しかすることになる。

2024年7月21日 ルート図

 駐車場から一不動避難小屋まで2時間弱、避難小屋から激薮を漕いで裾花川本谷まで1時間かかった。

背丈以上の笹薮を抜け出しても藪は続く。約1時間でクロ滝に出た。

クロ滝は、知る人ぞ知るの滝で「回峯行場絵図」に描かれている。戸隠33窟や大澤通りのことを調べている時に知った。

クロ滝から裾花川本谷にはすぐだ。クガイソウを見つけた。

沢靴の履き替えて裾花川の遡行がスタート。きれいなナメが出てきた。

地図で確認すると一つ目の二俣。この滝を登り上げて五地蔵山と一不動の中間登山道に出る方法もありかな。今回はどこまで行けるかの偵察。

イワアカバナ

小さいけれど、こうした滝も登り上げて楽しいわ。

 二つ目の二俣。場合によっては、二つ目の二俣の右俣を進み五地蔵山近くに出るのもいいかと思っていた。しかしこの滝が登れない。両側も草付きになっているが、岩盤の上に草が生えているのと急斜面でここを登り上げる勇気がない。地図では滝マークがなく、ちょっと期待していたが残念だ。

 予定通り、さらに奥に進むことにした。

二つ身の二俣で立ちはだかっていた大きなナメ滝。

高妻山に続く稜線が迫ってきた。高妻山の山頂は左奥に見えない。

三つ目の二俣。ここで涸れ沢になる。今回はここまで。

オダマキが咲いている。

ミソガワソウ

裾花川源流の水が噴き出しているところを発見!

シモツケソウ

 久しぶりに楽しい沢登ができた。ゆっくりとビールタイムを過ごすことができ、余裕で戻れる・・・か。 

 次回に裾花本谷に降り立つときには「大澤通り」を歩く予定。「大澤通り」に思いを残して下山に取り掛かった。

 一不動までは、苦しい薮漕ぎ1.5時間。登りだからね。一不動についてほっと一息。氷清水で一服して一気に下山の予定であった。

 滑滝の鎖場に来た時に滑滝の下で登山者が倒れていた。滝の途中には、その登山者のものと思われるストックが引っ掛かっていた。慌てて滝を降りて声をかける。滝を滑り落ちたとのこと。遭難者に出合ったのは初めて。すぐに通報。119番や110番と何度も携帯でのやり取りをして、やっと2時間後に救助隊が来た。

 登山道から長野市消防のレスキュー隊が9名、長野市消防ヘリが空からやってきた。

 レスキュー隊が到着して、ヘリが来ると風が強いので先に下山してくださいと言われ、下山に取り掛かった。

ヘリが近づいてきた。なるほどすごい風だ。

ヘリから救助隊が下りてきた。

 これで大丈夫。ヘリで病院に運ばれるだろう。

 帰宅が遅くなってしまったが、遭難者が無事に病院へ収容されることを確認したうえでの下山だったから、自分も納得できた。県警からは遭難者を残して先に下山してもいい、とも言われたが、それはできないわ。まあ~暗くなる前に駐車場に到着したからよかった。

 刺激的な1日だった。