隠岐諸島の旅NO4隠岐の島町

 隠岐の島町の巡る旅も今日が最終日。隠岐の島町の東半分を回る予定。

2024年4月2日 ルート図

 隠岐に来る前からちょっと拘っていたタブノキが高田神社にあるという。隠岐にはタブノキが多いらしいが、素人の私がタブノキを確認できる唯一の神社が高田神社だ。ホテルの支配人が、神社の入り口右手に植わっていると教えてくれた。

 高田神社はちょっと分かりづらいところにあり、近くの役場で教えてもらった。

 隠岐の人たちはみんな親切。道を歩いていると必ず「こんにちは」と声をかけてくれる。車も人も少ないが、気持ちは篤い。島外からくる人間にとっていい時間を過ごせるが、島民にとっての生活はどうなんだろう。どこでも同じような課題はあるが、それに向き合って解決していくことが大事なんだ。

 そんなことを考えながら歩いて高田神社に着いた。ここも桜の木が入り口にあった。花はこれから。一つ二つ開きかけていた。

高田神社

高田神社は創建1806年、主祭神はクニノトコタチノミコト。

本殿の切り妻は龍が彫られており、崔色豊かで煌びやかだ。

隠岐造とのこと。

高田神社のタブノキ。やっと出合えた。

都万の海。遠くにうっすらと島前。

 ここから北上してきたから東半分を回るルートを組んだ。途中に、昨日通り過ぎてしまった玉若酢命神社に。

玉若酢命神社

神社の入り口に設置してある。右の石はトカゲ岩の石と同じものと説明書きがあった。

茅葺の随神門で国指定重要文化財になっている。 創建871年より前で主祭神はタマワカスノミコト。

八百杉。国の天然記念物で高さ30m、幹囲11m、樹齢数千百年。「根元に住んでいた蛇が、成長する根に眠ったまま包まれてしまい、そのいびきが今も聞こえる」らしい。ロマンだわ。

拝殿の軒下には鳳凰。

拝殿の中に入れた。

茅葺の隠岐造りの本殿。国指定重要文化財になっている。

境内の桜が咲いていた。

 485号線を北上して白島に向かう。白島は島後最北端で長い年月の浸食によって特異な島々がある。素晴らしい風景だ。

白島展望台からの眺望。

展望台からだけでなく、岬のほうへ行けるので、往復4キロ弱の道を進んだ。島が近くなってきて、島の名前も特定できるのが嬉しい。小白島は別名象ケ鼻ともいうらしい。

帆掛島方面。

白島の海の色がエメラルドグリーン。

隠岐の花

あのピークが岬の先端で一番近づけることができる場所。

隠岐のミツバチグリ

行けるところまで行ってみた。もちろん自己責任。そうしたらこのような素晴らしい風景が広がっていた。

左から沖ノ島、白島、小白島(象ケ鼻)

松島は白島碕と海で隔てられている。白島碕先端まで行きたかったが、時間がないのであきらめた。

  隠岐の島は花も豊富だ。長野の山で咲いている花が隠岐にはあるのだ。

イカリソウ

キブシ

 白島からの眺望を楽しんで、次に向かうは鎧岩。ナビで設定していったら鎧岩を防波堤の上から見る場所についてしまった。

 そこにいた漁師さんに鎧岩を見るにはどうしたらよいかと聞いたら、防波堤の上に乗っかればよく見えるよ!と親切に教えてくれた。また対岸の山の中腹まで車で行って、そこから約50分歩けば鎧岩まで行けるとも。

 う~ん、時間的に無理かな。残念だけれど、防波堤の上に乗っかって見てみることにした。

鎧岩

烏帽子島。鎧岩の北西に位置している。

ナビが教えたこの地域は隠岐海苔田になっている。こうして採れた和布を軒先につるしている。

 鎧岩や烏帽子島を確認出来てよかった。時間があれば鎧岩に登ってみたかった。帰りがけに、先ほどの漁師さんにお礼の声を掛けたら、とれたての和布をくださった。油揚げと一緒に炒めるとおいしいそうだ。

隠岐の人たちって親切だし人懐っこいわ。

 次に目指すは浄土ヶ浦。約1キロにわたって道後の東側に広がっている。浄土ヶ浦伝説というものがあり、京都の一休和尚と隠岐国の漁師である嶋右衛門のやり取りから浄土ヶ浦と名前が付いた。

浄土ヶ浦。

 隠岐の島町は本当に楽しい。奇岩や大小の島がたくさんあって、神社もたくさんあって、やっぱり十分な時間が必要だ。

 隠岐の島町で楽しみにしていた一つに「トカゲ岩」がある。全長26mの壁を垂直に上る巨大なトカゲの形に見える奇岩だ。26mの岩壁も登れるらしいが、今回はトカゲ岩を見ることだけにした。

 トカゲ岩を見るには、鷲ヶ峰に続く登山道の途中から見るようになる。何か所か見える場所があった。

右の壁に張り付いている「トカゲ岩」

わかるかな?

せっかくだから鷲ヶ峰を目指してさらに登っていくことにした。途中、鷲ヶ峰の屏風岩が見えた。

屏風岩

ネコノメソウ

エンレイソウ

鷲ヶ峰が見えてきた。

ニシノヤマタイミンガサ。長野のヤブレガサに似ている。

 隠岐には北のほうにある植物もあって面白い。それにタラの芽も出ていてびっくりした。野生の動物は、一番大きいやつでウサギだそう。クマやシカはいないそうだ。蛇やマムシは生息している。そんな不思議な島の時間も終わりに近づいている。

 世間桜(よのなかさくら)が通り道にあったので、30分ぐらい歩いて見に行ってみた。途中ムラサキケマンが咲いていた。

ムラサキケマン

 世間桜のいわれは、建福寺の前に白桜があり、花咲くときは有年になり、それ故に世間桜といったとのこと。建福寺は朽ちていた。

境内に残されていたお地蔵様。

朽ちた建福寺から登ること15分。まずは女桜。まだ蕾は堅かった。

その奥に男桜。2~3の花が咲いていた。

女桜の向こうには桜が咲いていて、もしかして子桜?

夕方ホテルへの帰り道に確認したかぶら杉。根本付近から6本の幹に分かれている杉の巨木で、樹高38.5mで樹齢は約600年。

かぶら杉

 隠岐諸島は面白いものがたくさんある。隠岐ユネスコ世界ジオパークとなっている。地球のできた仕組みや歴史・生物を知り、変動し続ける地球を考えることができる。多様な岩石が分布していることも知った。

 火山活動と荒波が生んだ素晴らしい風景。そして古い歴史を大切に、隠岐の人たちは生活をしている。決して贅沢ではないが、お互いに気遣いあいながら、助け合いながら、毎日を送っている。

 そのような空間に、わずかな時間でもいることができたことは、大きな学びがあった。そしてこの島での多くの出会いが、今後自分が生きていく上での力にもなっていくと思っている。

 隠岐諸島の時間はこれでおしまい。