石川の山友と約2年ぶりに会った。戸隠33窟探しをしていることを知って、一緒に窟探しをしたいと連絡が来たのだ。前日の9月2日に長野入り。夕方から一緒にテン泊をして山を語り合った。
私の山人生の中で、劔岳北方稜線の踏破が一番大きい。そして石川の山友の支えがあってこそ踏破できたのだ。それだけに大切な石川の山友といろんなことを語り合うのがまた楽しい。昨年は事情があって中止になってしまった。だからこの日を迎えるのがとても楽しみだった。
ある場所でテントを張って人生を語り合った。劔岳北方稜線のことも、話していると少し前に踏破したような気がしてくる。そしてこの話は、山を知っていても実際に踏破した人にしか分からない。今更ながら石川の山友に感謝である。
戸隠窟探しの朝は気持ちよく晴れた。さあ~いよいよだ。予定は、摩崖仏から沢を遡行して軍蛇利窟と金剛窟を見つけ、その後沢に戻ってその沢を詰め上がって歓喜窟までである。「戸隠村石造文化財」に載っている地図によると、沢を1400mまで登り、そこから沢を横切っていくと軍蛇利窟と金剛窟があるらしい。沢を忠実に詰め挙げると歓喜窟となっている。さてさてどうなることやら。どこまでこの記録を信じていいやら・・・。と思いながらも、しっかりと頭に叩き込んだ。
2023年9月3日 ルート図
秘密の場所でテント泊。静かに夜の時間が過ぎていった。
テン場の朝の空。
鏡池の駐車場からスタート。鏡池から摩崖仏まで約1時間。さあどうなることやら、ワクワクだ。駐車場から歩いてくるとまず正面に八方睨み(右)と本院岳(左)。テンション上がる~。
朝の鏡池。素晴らしく晴れ渡ってきれいだわ。
サラシナショウマと蝶々。
摩崖仏に到着した。摩崖仏の左に不動窟があったとされているが、崩れてしまったという情報も。
摩崖仏から沢に入る。沢を詰めていくのだが、水がほとんど流れていない。みなれたスラブ岩。
「戸隠村石造文化財」に載っている地図をたどると、標高1400mぐらいまで沢を詰め、そこから沢を横切るようになっているが、窟がありそうな岩壁が1400メートル付近にはない。
惑わされないようにしなくては。気を取り直してさらに沢を詰めることにした。
標高1400mの空。
大好きなKちゃんが見つけたアズマレイジンソウ。
大先輩のフ~さん。ルーファイしながら先頭を行ってくれた。
尊敬するMさん。Mさんは藪漕ぎ専門で、いつもハサミを持ち歩き、邪魔な枝を切ったりして歩きやすくしてくれる。こうした沢や藪は大得意。尊敬します。
とにかく沢を詰めていった。きわどい個所も何ヶ所かあって緊張。やがて目の前に現れた岩壁。もしかしたらとドキドキ。岩壁の基部に登り上げ、岩壁に沿って西の方へ進んで行った。
そうしたら!!!
あった~!
軍蛇利窟。この窟は天井が低い。石祠が安置されていた。
石祠に文字が刻まれているのだが、薄れてしまってよく分からない。尊敬するMさんが、この窟の周りの草を刈りこんでくれた。有難うMさん。
さらに岩壁に沿って西に進んで行くと金剛窟が現れた。一つの石祠。
西側のテラスの上にある石祠の台座。
目的の二つは見つけた。沢に戻って歓喜窟に行くか迷ったが、あまりにも見た目が急峻な沢で気持ちが引けた。そこでこの金剛窟からさらに西の尾根に取り付いて、以前に確認した降三世窟、大威徳窟、帝釈天窟、無名窟に行くことにした。
西の尾根といってもすぐそこ。えっ?尾根に取り付いてちょっと登ったら、そこが 降三世窟、大威徳窟、帝釈天窟、無名窟 だった。まあ~なんて楽しいんだろうか!
降三世窟
大威徳窟
帝釈天窟
無名窟
石川のMさんとKちゃん。そして大先輩のフ~さん。一緒に喜んだ。
自然の造形美かな。
時間は10時になったばかり。大分早いけれど、ここでビールタイム。場所もはっきりしないから、ルートどりも難しい。でもそれが面白いんだわ。なんて、また話が盛り上がる。
さてさて今日は目的変更ではあったけれど、はるばる石川からやってきた山友は、今日の窟探しで7個の窟に出合った。摩崖仏(不動窟)、軍蛇利窟、金剛窟、 降三世窟、大威徳窟、帝釈天窟、無名窟 。良かった!私もよかった!
これで戻ることにした。前回登ってきた尾根を下る。
振り返ると本院岳が木の間から見えた。
200年前に設置されたという鎖場に来た。ここは鎖がないと無理だわ。先輩は慣れたもの!
Kちゃんはスルスル。格好がいい。
Mさんは余裕。さすがだわ。
尾根をガンガン下り、目印の大岩に来た。ここから沢に降りるのだ。Kちゃんも余裕。
大先輩はルーファイしながら沢方向へ下っていく。
やっぱりMさんは余裕で下ってきたわ。
摩崖仏まで戻ってきた。フィナーレは近い。以前から気になっていた摩崖仏の左側の窟らしきもの。
摩崖仏の横にある窟(?)が気になって登ってみた。中をのぞいたら窟ではなかった。
楽しい今日の窟探しはこれで終了。石川の山友は、これから温泉によって戻るそうだ。今度は11月頃かな・・・と何となく約束して石川に戻っていった。