劔岳北方稜線をつなげることを意識してから3年は経過している。登山道のない区間のうち、滝倉山から毛勝山までが未踏破である。また北方稜線から少し外れるが、滝倉山から北東に伸びる稜線上にあるサンナビキ山(1949.3m)は外せない。
今年になってサンナビキ山を3回計画した。2回目までは、天気の具合であきらめざるを得なかった。今回3回目は今年最後のチャンスになるだろう。
天気が安定しなくドキドキであったが、石川からの山友が決行するという連絡がはいったので行くしかない!天気予報も3日間は保証してくれているし・・・ということで、いよいよその時を迎えた。
第1日目(9月20日)
今年2回目の計画時は、BCに到着する前に雨に降られ、BCで2時間ほど待機したが撤退している。今回は順調にBCを通り過ぎ赤倉尾根に取り付いた。
赤倉尾根は2年ぶりである。1日先行している石川グループが藪払いをしてくれていた。
赤倉尾根の急登をガンガン登る。それにしても荷物が重い。3日分の水を担いでいるし、荷物が肩に食い込む。
赤倉尾根から東又谷のモモアセ谷の姿がよく見えた。滝が続く谷だ。
やがて平杭乗越と西谷の頭が見えだした。未踏破区間である。来年に挑戦する予定。
1801m地点の赤倉ノ頭と呼ばれるピークにやってきた。北方稜線上に乗っかったのだ。ここからは毛勝山と劔岳がよく見えた。
北北西に駒ヶ岳。駒ケ岳からこの赤倉ノ頭までの北方稜線は踏破している。
こうした山々を眺めていると元気が出る。
石川グループがここに水をデポしておいてくれたのは感謝だ。その水も背負い込む。ここから約1時間で、今日の目的地のC3に到着予定。そこで石川グループと一夜を過ごすのだ。少し進むと石川グループのMさんの声が聞こえた。間もなくC3だろう。
「お~い」という掛け声に「お~い」と答えてくれる。
スタートから約7時間かかってC3に到着。MさんとKさんは、焚火をして待っていてくれた。久しぶりの再会だ。お疲れ様。
石川グループが整備した展望台もある。
展望台からは毛勝山がよく見える。夕暮れの毛勝山を堪能できるのも石川グループのおかげ。
火を囲みながらゆっくりとした時間を過ごす。
夕食はKさんが用意してくれたすき焼き。これはサプライズだった。みんなで翌日の作戦を。二人は北方稜線の最後に残されたである滝倉山からウドノ頭手前までを踏破する予定だそう。お互いの完登を祈って何回もアルコールで乾杯しました。
第2日目(9月21日)
夜中に雨の音で目が覚めた。ムム、天気予報と違う。
朝起きたら一面ガスっている。今日がメインなのに・・・。でも行くしかない。今日が今年最後のチャンスでもある。
サンナビキ登頂済みのMさんによると、C3から滝倉山までは2.5時間、滝倉山からサンナビキ山まで4時間ぐらいだそう。朝6時にテン場を出発した。
滝倉山までは2年前に登頂しているから様子が分かっている。しかしこの2年間のうちにかなり藪化が進んでいた。
ここからだ。
ガスっているので目指すサンナビキ山が見えない。非常に厄介だ。
滝倉山から派生するサンナビキ山への尾根をGPSで確認しながら藪をかき分け進んで行く。
一瞬ガスが切れてサンナビキ山が見えた時は嬉しかった。しかしサンナビキ山までのルートを目視している間に、またガスってしまった。
地形も複雑で地図とはかなり違っているようだ。このようなやせ尾根もガンガン進む。
MさんとKさんが2年前に登頂したときにつけておいてくれた赤テープに出遭うとホッとする。間もなくサンナビキ山山頂。頑張らなくちゃ!
滝倉山から2.5時間かかってサンナビキ山の山頂に立つことができた。
そしてMさんとYさんが設置したサンナビキ山のプレートがかかっている木の上に登った。わ~い一番高いところじゃ!
予定より早かったのでゆっくりとビールタイム。
さあ~引き返すか。気持ちに余裕が出て、そっと咲いている花に気が付いた。
サンナビキ山をピストンして滝倉山の山頂に登頂。抱き地蔵がチョコンと。これで心置きなくC3に戻ることができる。
やがて石川グループもC3に戻ってきた。明るい表情。二人はこれで全長50キロの劔岳北方稜線がつながったとのこと。おめでとう。おめでとう!
今回の山行でお互いに目的が達成でき、火を囲みながら大いに盛り上がる時間を過ごした。
第3日目(9月22日)
気持ちのいい朝を迎えた。C3の展望台からの毛勝山は、今朝はちょっと違う?
目的を達した後の下山は嬉しいようなさみしいような・・。
C3の撤収を少し手伝い先に下山にかかる。Mさん、Yさん有難う。今度は来年積雪期にね。二人と別れがたく、何度も振り返っては手を振った。
劔岳と八ツ峰その左奥に黒部別山がよく見える。かつて歩いた山を眺めるのは気分がいい。