ちょうど1年前に、滑川の二ノ沢を遡行して独標(点名・天狗滝)に立っている。その時に、目の前にそびえている蕎麦粒岳に行こうとしたが、あまりにも深くキレ落ちているので自信がなく引き返してしまった。心残りであった。
そのことを南川金一氏に話したら、独標から約30分ぐらいで鞍部に降りられ、割と簡単に蕎麦粒岳に行ける・・・ということをお聞きした。南川金一氏は、著書「山頂渉猟」に独標と蕎麦粒岳に登った記録をしたためている。再度読み返し、いつかはと思っていたところ、2泊3日で入山予定であったサンナビキの天気が悪く急遽中央アルプスに変更した。
蕎麦粒岳のリベンジなるか?今回のコースは、風越山~天狗山~独標を経由して蕎麦粒岳だ。
1日目
初日の夜は、滑川流域にテントを張る。翌朝早くに風越山登山口をスタート。風越山も約2年前に滑川から登っている。今回は一般道を利用。天狗山まで水と食料を担ぎ上げ、翌日独標から蕎麦粒岳をピストンする予定だ。
風越山は通過。約10分で着く中央アルプス展望台からは、三ノ沢岳から麦草岳まできれいに見えた。
さあここからは未踏。どうなることやら。
荷物が重い。道は尾根上を行く。結構踏まれていて迷うことはないが、1880mのピークから1784mまで急降下し、そこから2118mの天狗山山頂までの急登は、荷物が肩に食い込みヒイヒイだった。
スタートから7時間、目的の天狗山山頂着。
眺望はないが、素晴らしいテン場が見つかった。苔の絨毯の上にテントを張る。火を囲みながら翌日本命の作戦を練る。担ぎ上げたビールがおいしい。ゆっくりと過ぎていく時間は至福の時だ。夕焼けがきれいだった。
2日目
朝5:45スタート。荷物を軽くし、独標目指してガンガン登って行く。偽ピークを2つ越して思い出の独標に到着した。素晴らしい天気に恵まれ360度のパノラマ。中央アルプスの山並みが素晴らしい。南には糸瀬山が座している。かつて自分が昇った山々を確認できるのも嬉しい。そして目の前には、前回断念した蕎麦粒岳が待っていてくれた。
これから行くからね!第1峰から第4峰まである。南川氏はすべて登っている。行くしかない!
独標山頂から藪に突入。なるべく藪の薄いところを探しながら、30分ぐらいで鞍部に到着した。
鞍部についてしまえば半分は終わったもの?やや薄くなった藪を分けながら、蕎麦粒岳第1峰に立った。岩稜の上である。ここから見る独標も素晴らしい。いつもの儀式をして第2峰~第4峰まで登って行った。
第4峰には、遠くからでも目立つ岩がある。妙義山の長須ノ頭を思わせる岩だ。その岩に登ることも目的の一つ。フリクションが聞いて簡単に立つことができた!
第4峰の最南端まで行き、素晴らしい自然の造形にうっとり。ここでしか見ることのできない山の表情を確認し、独標目指して引き返すことにした。
独標から蕎麦粒岳のピストンは約2時間だった。夢のような時間。現実に戻り、一気に天狗山目指して駆け下りた。11時少し前に到着。
テントを撤収しもう来ることがないだろう山道をゆっくりと下山した。
おしまい。
目の前には糸瀬山と点名・善棚。糸瀬山山頂からの藪漕ぎは大変だったことが思い出される。
15日の朝、まずは正面に見える2230mピークを目指し出発。
ず~と稜線をつなげてある。昨年の田切岳を思い出す。
蕎麦粒岳。第4峰(一番右)の長須ノ頭のような岩にも登るのだ。行けるか?行くしかない!
独標のこのあたりから蕎麦粒岳の第1峰への鞍部目指して下降する。
糸瀬山と続く稜線。目前ピーク(2200m)の向こう側にキニバ岩(2120m)がある。キニバ岩は未踏。いつか・・・。