空木岳~赤椰岳~南駒ヶ岳~田切岳

 中央アルプスは人が少なくていい。静かな山歩きができる。
 今回の目的は、空木岳~南駒ヶ岳の稜線を繋げることと、赤椰岳から派生する黒覆尾根のピークでもある田切岳に登ることだ。昭文社の地図には示されていない。25000分の1の地図にも山名は記載されていない。偶然にこの山のことを知って、いつしか登ってみたいと思っていた時がやってきた。

 

2019年9月6日~9月8日 ルート図

1日目
 空木岳登山口となる林道の終点まで車で入る。運よく駐車することができた。
 空木岳はこれで3回目となる。1度目は萱ノ台から日帰りピストンした。2度目はロープウェイで千畳敷まで行き、そこから空木まで縦走し萱ノ台へ下山している。これも日帰りだった。
 今回は駒峰(こまほう)ヒュッテを利用して2日間の予定だ。空木岳への登山コースは長くてちょっぴり厳しい。ましてやテン泊と同じ荷物を持ち上げなくてはならないから大変だ。
 ゆっくりと歩き出した。

 

池山では宝剣岳が素晴らしい姿を見せてくれた。天気がいいし、気持ちいい。テンションが上がる。

 

南には甲斐駒ヶ岳と仙丈岳が。

 

 池山でしばしの休憩をとった。
 まだまだ始まったばかり。いつもより天気が保証されているから気が楽だ。
 池山小屋の水場での豊富な水。ここで水をくむ。駒峰ヒュッテには水場がない。水を持ち上げなくてはならないのがつらいか!
 大地獄、小地獄を難なく過ぎやがてやってきた分岐。
 空木平避難小屋経由にするか駒石経由にするか迷ったが、まだ歩いていない空木平経由のルートを取った。これが正解。たくさんの花をめでながら前に進むことができた。

 

クロトウヒレン

 

サラシナショウマ

 

ゴゼンタチバナは実になっていた。

 

リンドウ

 

分岐から約15分。空木平に到着した。気持ちのいい空間だ。

 

そして枝沢には豊富な水が流れている。

 

ネバリノギラン

 

イブキボウフウ

 

イブキボウフウの中を覗いたら・・

 

 空木平避難小屋に到着した。ここから駒峰ヒュッテまで45分の登りだ。この空木平避難小屋はとてもきれいで、枝沢を流れる水も豊富・・・。ならばここにしようか。
 翌日のことを考えると少しでも距離を稼いでおきたいが、駒峰ヒュッテの混雑を思うと絶対ここ!
明日1時間早く出ればいい。

小屋に荷物を下ろしてホッとしてしまった。

 

今日の時間はまだたっぷりとある。ならば今まで登っていなかった駒石のピークに立ちたい。初めて空木岳をピストンした時の下山時に、駒石に立っている人を見て登ってみたいと思った。その時は時間との共同だったからあきらめてしまったが、今回はチャンス。たくさんの花に出会いながら、駒峰ヒュッテ経由で駒石を目指した。

 

ウメバチソウ

 

ウメバチソウの花の中

 

イブキトラノオ

 

ハクサンフウロ

 

チングルマ

 

ウサギギク

 

バイケイソウ

 

バイケイソウの花の中

 

モミジカラマツ

 

イワツメクサ

 

 駒峰ヒュッテを経由し駒石目指して尾根を下っていく。と、突然現れた田切岳。両側が落ちていて、どうやって登るんだろう・・・と不安が横切る。
 それにしてもあのピークが田切岳だということを知る人は少ないだろうな。

 

田切岳

 

素晴らしい天気が続いている。あのピークの先に駒石が座している。

 

現れました駒石。上から見下ろしているから低く見えるが10mぐらいの高さがある。

 

駒石ピークに立ちました。念願がかなった。結構簡単に登りあげることができた。

 

駒石のピークから空木岳。

 

明日は、あの田切岳のピークに立つんだ!

 

ヤマハハコ

 

 空木平避難小屋は快適だ。
 今日のこの避難小屋の利用者はたった4人。みんなで山の話に盛り上がった。もちろんここまで持ち上げたアルコールも楽しんで。
 静かな夜が更けていく。夜空には満天の星。明日も天気がいいだろう。

 

2日目
朝4時半前に避難小屋を出発。今日のコースは、空木岳~赤椰岳~南駒ヶ岳と縦走し、南駒ヶ岳と赤椰岳の間の谷間にある擂鉢窪避難小屋から田切岳を目指すのだ。一番の目的は田切岳。さ~行けるか!

 

夜明けが始まった。

 

モルゲンロートだ。

 

雲海も素晴らしい。

 

甲斐駒ヶ岳から陽が昇った。

 

塩見岳はすぐわかる。塩見岳の左の方のところには富士山も。

 

陽が大きく出てきた。

 

空木岳も輝いている。

 

昨日宿泊しようかと思っていた駒峰ヒュッテ

 

空木岳山頂に到着した。山頂に立つのはこれで3度目。

 

今回の目的であるルートを空木岳山頂から確認。

 

 さあ、気を引き締めていこう。まずは南駒ヶ岳までの登山道を行く。一般道だから気が楽だ。
 ほとんど登山者の姿はない。静かな山歩きができることも、中央アルプスの醍醐味。天気はいいし3000m近い標高のところを縦走してくのも楽しい。

 

振り返ると御嶽山。

遠くに北アルプス。槍ヶ岳の穂先が見える。

 

八ヶ岳とその左には浅間山。

 

さあ先を急ごう。足元にはトウヤクリンドウが。秋が来ている。

 

振り返って空木岳。あのピークからやってきた。

 

イワギキョウ

 

蕎麦粒岳が見えた。独標(点名天狗滝)に1か月前に登った時、蕎麦粒岳へは行けなかった悔しさを思い出す。

 

赤椰岳(2798m)の山頂に到着。ここから見えるのは南駒ヶ岳へ続く稜線。

 

赤椰岳と南駒ヶ岳の中間地点の鞍部からの百閒ナギ。下に擂鉢窪避難小屋が見える。南駒ヶ岳をピストンしてからあの避難小屋まで下降するのだ。

 

南駒ヶ岳の前衛峰。山頂は右奥。

 

南駒ヶ岳(2841m)に到着。

 

山頂からは素晴らしい山々が出迎えてくれた。

 

歩いてきたルートを振り返る。

 

まず第1の目的は達成した。空木岳から南駒ヶ岳の稜線が繋がった。さあこれからが本番。いよいよルートのない田切岳を登りに行く。往路で確認した擂鉢窪避難小屋を目指して急坂を駆け下りていく。

 

擂鉢窪避難小屋。幽霊が出るという噂があり、どうしてもここには宿泊する気になれなかった。

 

正面に目指す田切岳。

 

 田切岳は百閒ナギから繋がっていて、直には取り付けない。手前の尾根も百閒ナギにつながっていて、すぐにでも崩れそうで怖いのだ。獣道を探しながら百閒ナギぎりぎりのところを登って行った。
 地図で確認すると百閒ナギに沿って登り詰めると鞍部に出て、その鞍部から山頂を目指すことになる。目視では鞍部は分からない。行くしかない!

 

藪を漕いで約1時間。鞍部が見えるところに出た。子の稜線を辿って山頂へ行ける・・・と思う。

 

百閒ナギを上から見た。恐ろしい。この百閒ナギは与田切川のオンボロ沢につながっている。

 

避難小屋から約2時間。田切岳の山頂に到着した。ケルンが積んであった。びっくり。

 

田切岳山頂から、右に赤椰岳、左に南駒ヶ岳。

 

ここでのビールタイムも楽しかった。おいしかった。素晴らしい眺望に乾杯!地図上に表示のない田切岳に乾杯!

 

南駒ヶ岳とケルン。

 

田切岳の山頂を目指すときには危険個所がたくさんあり緊張したが、鞍部までの下山中は少し余裕が出て、そしたら見つけたミネウスユキソウ。

 

ウメバチソウ

 

トウヤクリンドウは花が開いていた。

 

 今回の山行の目的はすべて達成した。
 予定ではこの日のうちに帰宅。しかしです。2日目の長丁場に、気温も高くよれよれになってしまって下山を断念。空木平避難小屋でもう1泊することにした。残念なことにアルコールはなし。半分脱水症状になりかけたのか、豊富な水を沸かして何杯もコーヒーを飲んだ。
 今夜の空木平避難小屋の宿泊者は5人。ゆったり横になることができた。

 

3日目
しっかり疲労が取れ、朝食後に下山開始。3時間で駐車場所に到着した。

 

下山を開始して間もなく夜明けが始まった。

 

甲斐駒ヶ岳が明るくなってきている。

 

太陽の輝きは素晴らしい。

 

シロヨメナが咲いていた。