中央アルプスの沢は明るくて私は好きだ。
滑川本流にはいくつかの沢が流れ込んでいて、そのうちの一つの二ノ沢を詰めると2338.7mの独標まで行くことができる。尊敬する南川金一氏が登ったコースだ。
実は1年前にこのコースを試みたが、二ノ沢の二俣では左俣を行ってしまい、かなりのクライミング要素を必要とされ、楽しかったが時間切れで稜線の鞍部から下山してしまった。
今回はリベンジ!できればその先の蕎麦粒山まで足を延ばしたいと思った。
木曽駒ヶ岳の上松Aコースの登山口に駐車。
敬神の滝小屋までは一般道。ここから滑川沿いに奥へ入っていく。一度歩いているから気が楽だ。
最初の右岸から左岸への渡渉地点では、水量多く腰まで水につかった。1年前はここでテントを張ったが、今回は二ノ沢の出合いまで行ってテン場を探す予定だ。
渡渉地点から約1時間で二ノ沢に到着。水量が多い。テン場は二ノ沢の入り口近くに見つかった。ラッキー!
時間がたっぷりあるので、滑川を遡行し三ノ沢まで行ってみた。
滑川は水量が多いだけで難しいところは特にない。むしろ三ノ沢や奥三ノ沢遡行はちょっと技術を要するらしい。いつか滑川から宝剣沢を詰めての宝剣岳の山頂に立ってみたいものだ。
快適なテン場に戻り、焚火を囲んでの静かな夜に空を見上げると、たくさんの星が輝いていた。
堰堤を3つ通過したところで右岸から左岸への渡渉地点。水量が多く、腰まで水につかった。
8月18日
夜が明けた。今日が本番。リベンジなるか!だが、前回の失敗を踏まえて注意することは、涸れ沢が出てきたら右の沢筋に移ることだ。後はその斜面の藪を漕いで登っていくと第1の目的の稜線上の鞍部に出る。そこから独標目指して約1時間ぐらいか?
二ノ沢の水は冷たい。
二ノ沢は小滝が続き順調に高度を稼ぐことができる。
まもなく大岩。前回は大岩の左を登り上げたが、今回は水量が多くダメ。仕方なく左岸の草付きを高巻いた。ここは涸れ沢までの一番の核心部。
左の沢筋に移動してから破漕ぎをして稜線の鞍部に到着した。
さ~ここから約1時間ぐらい?2338.7mの独標を目指して尾根を詰めるのだ。だんだん藪が深くなってくる。かすかな道形をたどりながら飛び出した山頂は、素晴らしい眺望が待っていた。
南に控える蕎麦粒山は4つの峰になっている。独標からは尾根を急降下しまた急斜面を登り上げるようになる。しかも破漕ぎ。もはやここまでか・・。南川氏は蕎麦粒山を見たら登りたくなって、4つ目の最後のピークまで行ったと「山頂渉猟」に記述している。やっぱり南川氏はすごい!
多分ここへはもう来ないだろう。ならば蕎麦粒山のピークを踏むチャンスもないだろう。
ちょっぴり心を残して下山に取り掛かった。
涸れ沢が出てきた。しばらく伏流になりまた水が出てくる。その後の涸れ沢で左岸の沢に移る。ここがポイントだ。
やっと鞍部に到着。前回はここから下山している。今日はここから尾根を詰めて独標へ。
独標までの尾根も藪が多い。振り返ったら素晴らしい三ノ沢岳が。
藪を漕いで漕いで、独標に飛び出した。2338.7mの三角点。点名は天狗滝。
蕎麦粒山。あそこまで行く気力が残っていない。南川氏は、一番右のピークまで行ったんだ・・・。すごいなあ~。
下山に取り掛かる。時間はたっぷりあるので、花に話しかけながら下った。