その日がやってきた。
尊敬する南川金一氏と初めて顔合わせをして初登山をした日。夢のような時間だった。南川氏の信奉者で、特に南川氏の著書である「山頂渉猟」や「続・山頂渉猟」をバイブルにしている多くの山好きの人間の中で、こうして南川氏と話をしながら山を登った人はほとんどいないと思う。
南川氏が私のために選んでくれた山は北沢山。権兵衛峠を歩いたことがないことを知って選んでくれた。
権兵衛峠までは途中通行止めになっているため、約1時間かけて歩く。そこからNTTのアンテナまでは急登。登り切った1806.6mからの眺望は素晴らしかった。
以前に南川氏は北沢山まで歩いたことがあるという。よく周知していて、1860m近くの見晴らしのいい露岩まで案内してくれた。
笹藪の中をひょいひょいと登って行く。そんな南川氏の姿を見て、10年も20年も前からご一緒出来ていたら、自分の山人生はまた変わっていただろうと思った。
南川氏に託された山がある。できるだけ早く実現して南川氏に報告できるといい。
でもね、『託された』という思いを抱いての下山はちょっと寂しかった。
権兵衛峠を目指して登っていると見えてきました!樽ヶ沢山。登った時のことを思い出す。
登った山を南川氏と一緒に眺めることのできる幸福感。次は洞ヶ沢山か・・・。
NTTのアンテナを目指して急登りを詰めると、ちょっとした平地に。ここからの眺めは最高でした。
南川氏に案内してもらった1860メートル付近の露岩からの眺望。
南川氏は山やその地域の知識が豊富で、たくさん説明をしてくださった。一つ一つ山や地元の歴史などを聞きながらの山登りは本当に楽しかった。
1860m地点の空。いつもこの空のように澄んだ心でいられるといい・・・。