薬師岳という名の山はあちらこちらに存在している。
今回登ったのは、頚城の薬師岳である。乙見湖から突き上げる1807.7mの山で、もちろん登山道はない。一般的には注目もされていない山である。
旺文社の「妙高・戸隠・雨飾」の地図に記載されている山は、標高に関わらずほとんど登った。いくつか残されていた山の一つがこの薬師岳である。残雪を利用して登ると比較的楽である。今年は雪解けが早く、多少の藪漕ぎを覚悟した挑戦だった。
地図を眺めどのルートを行こうかと悩んだが、笹ヶ峰から小谷村へ抜ける林道は通行止めのため、杉野沢橋から真川に入り滝沢手前で尾根に取り付くことにした。
残雪の急登が続く。
アイゼンがよく効き、ピッケルに頼りながら1400mぐらいで藪に突入。尾根に乗っかったのだ。振り返れば三田原山がデ~ンと座していた。この尾根に乗っかってしまえば、尾根伝いに登っていけばいいのだ。この尾根は地図ではわからなかったが、両側が切れており岩稜が続いていた。だから楽しかったんだけど・・・!
直線距離であと300mというところでまた雪が現れた。
ここからは再び急登である。滑ったら止まらないだろう。一歩一歩慎重に登っていく。頂上直下はかなりの斜度であった。
出発してから4時間半。薬師岳山頂に到着した。
薬師岳山頂は南北に平らで、ここからの眺望は素晴らしかった。北には火打山、影火打山、焼山、そして影火打山から南にせり出している嘉平治山と鎧山。南には乙妻山、高妻山、地蔵山、神道山、天狗山。
これらの山すべて登っている。
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いつもの儀式を終え、ゆっくりとランチビールを楽しむ。
残念だが、下山の時が来た。
同じルートの下山じゃつまらない。地図とにらめっこ。結果1本北側の尾根から沢筋を下ることにした。
ここもかなりの斜度がある。アイゼンとピッケルが頼り。やがて平坦な雪原が現れ、ルンルン気分で進んでいたら地図にはない切り立ちが現れた。どうしよう~。少し右手に進むとスノーブリッジが残っている沢に出て、緊張しながらブリッジを越えて隣の斜面に移動した。
・・・と、登り口に飛び出した!
水芭蕉がひそやかに咲いていた。
尾根に乗っかってからはこのような藪漕ぎが続く。左に見える稜線を越えていくのだ。
再び残雪が出てきたのでホッとしたのもつかの間。新品のクマの足跡が!
約4時間半で山頂に到着。いつも通りの儀式を行った。奥は三田原山。
山頂からは北、東、南の眺望は抜群。西方面は木々は邪魔していた。