マサエさんからノートを預かった。
ノートの表紙には「心のささえ・心にしみる名訓」と書かれている。
小さなノートだが、それはマサエさんの人生そのものだった。
何十年も書き留めた自分の想い。一ページ一ページに、誰にも言えないマサエさんの叫びが、喜びが、哀しみが書かれていた。
「処分する前に、是非先生に読んでもらおうと思って・・・」
とマサエさんから手渡された。
マサエさんのことを深く知る私は、マサエさんの話し相手にしかなれない。けれどこのノートに詰まったマサエさんの想いにふれて、ずっと見守っていたいと改めて思った。
『登り道をひたむきに歩いてきた人は
くだり道があることも知っている
哀しみの涙にむせんだ人は
歓びの汗も涙のように流れることを知っている
いろいろな道を歩き
いろいろなことに出会い
それでも心のどこかに暖かい
汗と涙が』(出典不明)
ウツギの花
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