沢山のお花に囲まれた家だった。
その家の主が亡くなって、相続の手続きのための訪問したF家。妻のNさんは季節季節の花を大切にしていた。
庭にはショウジョウバカマの花が幾株もあり、株分けをして実家のお寺の庭を一杯にしようとしているとのこと。土に下したクリスマスローズも満開だった。
八重のフクジュソウは鉢に植えられて玄関で来客をもてなす。
部屋の中の君子欄は存在感があり、縞獅子という植物は、枯れかかったものを生き返らせていた。縞のある葉が生き生きとしていた。どんな花が咲くのか楽しみだという。
四十九日は過ぎたが、夫が亡くなったという実感がわかないという。ひょっこりとどこかの部屋から顔を出すのではないかと思っていたりするとのことだ。
これから亡くなったFさんの最後の後片付けが始まる。お手伝いさせていただく数カ月の間に、できるだけ妻のNさんの気持ちに寄り添って歩んでいきたいと思っている。
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