Oさんから相続の依頼を受け、夕方O家を訪問した。 今後のスケジュールと集めていただく書類の打ち合わせのための訪問であったが、加えて、残された夫のOさんの心の想いをお聞きした。
亡くなった妻のTさんは、半年という余命宣告された。 しかし一度も涙を流すこともなく、Oさんにいつも感謝していた。亡くなる少し前に「そろそろ仏様になるんだわね。」といったそうだ。そして遺作となる100号の油絵にサインをして間もなく生涯を閉じた。その作品は日府展に入選している。
Oさんは言う。 「妻は大勢の人に愛され、350人もの人たちが弔問に訪れてくれた。今まで二人三脚で歩んできただけにすごく寂しい。いい妻だった。」 家の中にはTさんの作品が何点か飾られていた。すべて日府展に入賞している作品だ。Tさんの人柄をしのばせるように、何か気持ちを優しくする作品であった。 |