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夏山最大の計画は、天気とともに崩れてしまった。しかし計画した半分は実行できたと感謝している。
新穂高から入山。 その日のうちに千丈乗越を越えて、六ノ沢から千丈沢へ。目的の硫黄岳の取り付き地点である1,705m地点まで下降。 そこをベースキャンプとして、翌日に硫黄岳をアタック。3日目に新穂高まで戻る予定であった。
初日の12日は、ラッキーにも無料駐車場最後の1台で止められた。 朝6時に駐車場を出発。荷物が予備日を含めた食料もあって20キロぐらい。これは重かった。 最初は快調でも、やがて一歩一歩が重くなり、天気がいいこともあって気分はいいが、いつもより休憩時間が多いような・・・。 穂高平避難小屋、白出沢出合のちょっと先までは、蒲田富士登山の時に来ているから様子は分かっていた。そこから先は初めてのコースである。 滝谷出合の水量にビックリし、そこからの北穂の姿にうっとりした。 槍平小屋のテン場を何となく通り過ぎてからの、私にとっては地獄(?)の登り2時間は辛かった。
グイグイ肩に食い込む荷物。 こんなはずじゃなかったのに・・・と自分を励ましながらの一歩は、足の筋が攣るのではないかと感じるぐらい。 ここで攣ったら進めない。 水分補給と塩をナメナメながらの涙の登りだった。
槍ヶ岳との分岐からはほぼ快調。 お花畑が疲れを癒してくれた。千丈乗越へ向かう登りからは、槍ヶ岳山荘が近くに見えた。千丈乗越には13:20に到着。 本番はここからだ。 ベースキャンプ予定地に着くことができるか?行くしかない!千丈乗越から目視すると、硫黄岳の取り付き地点までかなりある。どうなることやら・・。
千丈乗越から見た硫黄岳そして硫黄尾根から続く赤岳は圧巻であった。 素晴らしい。 多くの登山者はこの姿を気にも留めていないだろうが、私にすると永年ためてきた思いがここで実現するかもしれないとワクワクさせられた。 不安も大きい。 尊敬する南川金一氏も目標とする山の最後の方で登頂している。彼は残雪期である。 無積雪期の登頂は、私の知る限り2名しかいない。
緊張とともに、自分を追い立てるように六ノ沢を千丈沢目指して下り始めた。 ここからは道がないのだ。 岩崩れを起こしそうな斜面を下りていくとやがて雪渓が現れた。これもラッキーだった。雪渓の上を歩く方が楽である。 見上げれば槍ヶ岳が。ここから槍ヶ岳を見上げた人は何人いるだろう。
やがて槍ヶ岳より子槍の方が高くなり、北鎌尾根から続く稜線が見事であった。次回は北鎌尾根か・・・。
中ノ沢を越してからの千丈沢は水量がぐっと多くなった。 うまく渡渉しながら少しずつ下っていく。2〜3か所は高巻きをさせられた。こうした沢下りも楽しいものだが、翌日の控える硫黄岳を思うとかなりの緊張が高まっていく。 いつもよりずっと重たい荷物にとうとう負け、目的地の手前をベースキャンプにした。
テント設営係り、食事係と焚火係。 河原でのテン泊と焚火は初めてである。ここまでの疲れを忘れるような時間に、満足いく1日を終わらせた。
夜10時ごろポツポツとやってきた。 雨?出発直前の予報では、13日の昼ごろだけ弱雨だったのに・・。翌日の硫黄岳のアタックはどうなるか?様子を見るしかない。
一晩中、弱雨が降ったり止んだり。 沢が心配だった。増水したら帰れなくなる。硫黄岳は急斜面を登って行くから濡れていてはだめだ。 諦めざるを得なかった。残念である。苦労してここまでやって来たのに・・・。
朝早いうちにテントを撤収。 いくらか増水した千丈沢を遡行する。前日に渡渉できたところも少々難しい。やはり引き返してよかった。とはいえ中山沢の分岐までは心配だった。中山沢からの水量が、前日も多かったから。
中山沢を右手に見送り、ここからが長い登りになる。雨は降ったり止んだり。ヒューという残雪期によく聞く風の音に着込んだダウンが丁度よかった。
千丈乗越にやっと到着。 ここまでくれば後は一般道を下るだけ。ヘロヘロになりながら、新穂高にたどり着いたのは19時を回っていた。
2日間、実に12時間以上の山行歩行をした。しかも重い荷物を持って。 同行してくれた仲間達に感謝。 残念(?)だったのは、持ち上げた荷物の中に3日分のビールとワインが入っていて、1日分しか消費しなかったこと・・・かな。
おなじみ穂高平避難小屋
滝谷出合
橋が架かっていた。
滝谷の避難小屋。
滝谷からの北穂。ドームがよく分かる。いつかクライミングをしたい!
槍平ノテン場。何となく通り過ごす。
槍平を過ぎてからの地獄(?)の登りはきつかった。やがてこんな風景が見えだすと元気になった。槍ヶ岳から仙丈乗越の稜線。
槍ヶ岳山荘が見える。
槍ヶ岳と千丈乗越の分岐。
ここからお花畑が続く。 ハクサンフウロ
バイケイソウ
タテヤマリンドウ
トモエシオガマ
ウサギギク
トリカブト
ミヤマアキノキリンソウ
タムラソウ
クロトウヒレン
ミヤマカラマツソウ
オトギリソウ
ミヤマホソツツジ
ウメバチソウ
千丈乗越。後方に槍ヶ岳と子槍。
千丈乗越から続く西鎌尾根。
千丈乗越からの硫黄岳と硫黄尾根(手前の赤い山稜)。奥に鷲羽岳、水晶岳の稜線。
千丈乗越から、この六ノ沢を下っていく。
硫黄岳(右ピーク)と続く硫黄尾根、赤岳は一番左のピーク。
六ノ沢を下り始めての槍ヶ岳と子槍。
硫黄岳待っていらっしゃい!(右のピーク)
初夏の花が咲いていた。ハクサンイチゲ
ミヤマキンポウゲ
やがて現れた雪渓。急斜面を下っていく。
ここにもお花畑が。誰に出会うこともなく咲いているんだ。
アオノツガザクラ
タテヤマリンドウ
チングルマ
槍ヶ岳と子槍。子槍は右。
北鎌尾根
北鎌尾根
中ノ沢分岐。奥に赤岳。
何度も見上げる北鎌尾根。
千丈沢にこんな美しいところも。
すだれの滝
千丈沢をどんどん下降していく。この近くをベースキャンプとした。
河原での焚火は楽しい。
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16:28, Friday, Aug 14, 2015 ¦ 固定リンク
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