Mさんは事情あって娘を手放した。6歳の娘は父親と生活している。Mさんは離婚したのである。 娘とは月に1回ぐらい会っているが、その時がMさんにとって一番の楽しみだ。会うたびにおしゃまになっていく娘と別れるときは辛い。 次回会えるまでの時間が長く感じられる。
別れた夫が再婚した。再婚相手には8歳の男の子の連れ子がいる。 それを知ったMさんは娘を心配した。家庭環境が変わってしまって、娘の居場所がなくなるのではないかと・・・。 娘には、父親の再婚のことを聞けなかった。
そして3か月後。 「あのね、私に家族が出来たんだ。友達じゃないんだよ。お兄ちゃんだよ。」 娘の口から飛び出した言葉は、母親としてホッとするやら悲しいやら心が騒ぐ言葉だった。
自分の手元に娘を引き取りたいと思う反面、「家族が出来たんだ。」という娘には、ちゃんとした居場所が確保でき、このままでいいんだと自分に言い聞かせたMさん。
母親としてのMさんの想いが手に取るようにわかるだけに、そっとMさんを見守るしか出来ない自分である。 |