遺産分割で4年間揉めていた姉弟。 取得する物件がやっと決まり、後は金銭の清算だけになった。
何回か話し合いを進める中で、双方の主張する金額の差が40万円ほどに縮まった。そこからである。今までの感情問題から、お互いに絶対譲れないのだ。 「此処まで自分だけが譲歩してきて、相手は全く譲っていないじゃないか」と、双方が同じ言葉を口にする。
第3者から見れば違うんだけれどね・・・。
弟は、怒りを私にぶつけ続ける。 そんな中フ〜と間が空いたときに「1歩とは言わない。半歩譲って早く楽になりませんか。」という言葉をかけた。 沈黙。 そして弟の表情が和みだし「分かりました」と、私が提案する金額を了承した。
さて次は姉だ。 姉の方が、まだ冷静だったかもしれない。弟が譲ったことを知り、そこで自分も受け入れることが出来るようになった。
「もう相手の顔も見たくない」とお互いに口にする。
この遺産分割で、親の財産を手に入れた。この遺産分割で、失くしたものはなかっただろうか。 4年間続いた劇場は、ここで幕を閉じたのだった。
自然の厳しさは、人間の世界の出来事を忘れさせてくれる。
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