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詫び状
 実にいろいろな人生があるなあ〜と、秋の気配を感じてるからか、ちょっと感慨深くなっています。生前に出会ったことがない人の人生に触れる時、感じる多くのことがあります。

 遺産分割の協議の中で、相続人のYさんは主張します。「兄は暴君だった。義姉も泣かされたが、私と私の妻は本当に苦労した。その分を考慮してもらいたい。」
 相続人は、配偶者と兄弟姉妹です。被相続人は子供に恵まれませんでした。

 更にYさんは「ここに遺言者があります。」と、メモ書きに様なモノを差し出しました。
 メモ用紙ではありますが、達筆な字が並んでいました。内容はというと、自分の遺産をこのように相続させるというのではなく、死に向かい合った時の自分の心境が書かれたものでした。そして最後に、苦労をかけたYさんの妻に対しての詫びの言葉が書かれ、「自分の死後はすべてをYの妻に任す。」と締めくくってありました。

 Yさんには、遺産分割に関しての遺言書ではないことをお話ししました。Yさんにとって見ると、被相続人の想いが書かれた文書だけに、遺言書として大切に保管してきたのでしょう。
 感動したのは、生前、暴君と言われてきた被相続人が、こうして詫びの言葉を文書に残していたことです。自分の人生を振り返りながら、死と向き合った時の心情が、こうした周りへの詫び状となったのでしょうね。

 Yさんといろんな話をしていくうちに、Yさんの中にも、被相続人に対しての許しの許しの気持ちがふつふつと湧き上がってきたようです。
 
04:37, Wednesday, Aug 24, 2011 ¦ 固定リンク

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