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「あれはイタリアですね。」 それは、通された部屋のテレビの上で、椅子に座っていました。木製のピノキオです。 「まあ、気がついた人は、先生が初めてです。二人の想い出なの。」 少し嬉しそうに、でも、今まで夫婦二人で生活してきたことの決別に寂しさを隠すことなく、Kさんは言いました。
約1カ月ほど前に夫を亡くし、気持ちの整理を付けるどころか、いろいろな手続きに翻弄されている毎日。 そして間もなく四十九日。その時に親族が集まるので、相続の話をしたい希望がありました。
Kさん夫婦には、子供がいません。亡くなった夫の両親も他界していますから、法定相続人は兄弟姉妹。 公正証書遺言を作成しようと思っていた矢先に、夫が入院。そのまま半年でなくなりました。 さあ大変です。代襲相続人として甥姪もいます。
今後どのような展開になっていくのか、Kさんは不安がっています。 税理士は、相続税の申告だけをするのではありません。遺族の気持ちに沿って話し相手になり、少しでも不安を取り除き、申告が終了した後も、Kさんのような環境の人には、今後のライフプランにも関わります。 数字だけで割り切るのでなく、大げさかもしれませんが、まさにその人の人生を或る面で共に負うのです。
Kさんの家では、目につく所々に野の花が活けてありました。買ってきた花ではありません。 そうしたKさんの行為、想いと共に、今後一緒になって考えていくことのできる自分の立場に喜びと責任を感じています。 |
05:31, Friday, Sep 25, 2009 ¦ 固定リンク
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